「休めとは命令していない! 帰るのか?」(と教官が言った。)
「いいえ」(そう僕は返事をした。)
「声が小さい。大声で話せ。それが、私が不快にならない大きさだ」
「いいえ!」
僕は喉を振り絞った。
隣から大声で浅黒い顔をした男が言った。
「カウントを続けていいですか? 彼を待つんですか?」
すると教官は耳元にあった顔が少し遠のいた。耳がジンジンと痺れているのに気づいた。
「誰が発言を許可した?」
「いいえ、でもアシェルには無理です」
「お前にはコイツの何だ」
「な、仲間です」
すると、教官の嘲りが混じったような声がした。
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