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水深800メートルのシューベルト|第224話
「で、君はどうしたいんだ?」
ゲイルさんは、僕の決断を早く聞きたがっているようだった。
「いや……、その……」
僕は決断に困っていると、ママが「勿論『イエス』よね? ママの子だもの」と口を挟んだ。
「君自身が答えを言わないと。君の人生だろ?」
「ごめんなさい」
僕は思わず謝った。彼はため息を小さく着いた。
「気にする必要はない。僕が一緒だということに気兼ねしているのだったら、あまり心配しなくていい。研修医になったら、あまり家にいないから。それに僕は海軍の委託学生だから、レジデントが終われば、海軍で七年の勤務に就くことになっている。そうなれば、時たま家に戻るだけの生活になるだろう。僕がジュリアとゆったりと過ごすのは、君が大人になってからだ」
「ちょっと、ゲイルやめてよ」
ママは不機嫌になり、自分の肩から彼の手を外した。