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水深800メートルのシューベルト|第369話

「アシェル、会計士になるために大学へ行くんでしょ? それだったら……」(と、お婆ちゃんは言った。)
「わかってるよ」


「お婆ちゃんは、アシェルのことを愛しているから言うのよ。だから、あまり悪い友だちとは……」
「わかっているって。もう眠いから……、疲れているんだ、おやすみ」
 笑みを崩さないように自分を保って、部屋に入り、後ろ手でドアを閉めた。


 ふうと息をつくと、「ああ、もう!」と叫びだしたい気分になったが、一人になってもわざとにこにこと笑ってやり過ごした。

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