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水深800メートルのシューベルト|第166話

 オリビアさんは、おずおずと口を開いた。
「お邪魔でなければ、私がアシェル君に付き添ってまいりますわ。明日は仕事で無理ですけれども、今夜の通夜(ビューイング)でしたら一緒に参列して、坊やがどこかに行ってしまわないように見ていますわ。一度きりのパパとの対面をさせてあげたいんですよ」


 ママとコリーニさんはお互いに顔を見合わせて、
「オリビアさんがご一緒してくれるなら」
 と許してくれた。


 僕は嬉しくなってママのスカートを掴み、顔を見上げたら、ママがおじさんを見つめたままだったので、そっちを見ると、唇を歪ませた笑顔があった。

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