水深800メートルのシューベルト|第1098話
「おや、珍しい方が来ましたね。ところで、原子炉はどうなりました、中尉殿?」
ロバートは、彼がなぜここにやって来たかさっぱりわからない、といった顔をしていた。
「今は、原子炉の関係できたわけじゃない」
もしかしたら、再起動を告げに来たのかもと、淡い期待を込めて、ベッドから身を乗り出しかけたが、すぐに浮いた腰を落ち着けた。中尉は首を巡らせ、この部屋に僕らしかいない事を確認すると、小声だが毅然とした調子で告げた。
「艦長命令を伝えに来た。君達は発令所で騒ぎがあったのは、知っているな?」
セペタ達は、無言だったが否定しなかった。僕は訊かれてもいないと感じた。