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水深800メートルのシューベルト|第1050話
ソナーマンのタイロンと通路ですれ違った時に、水面の艦艇について訊いたが、彼は首を振った。
「ああ、確かに大型船の反応はあって、艦長には上官から報告が言っているはずだ。僕のお手柄だね。しかし、その後の事は艦長判断だから」
「攻撃されたのか」
「悪いな、あまり詳細は話せないんだ。だが、そのような事態とは思えないな」
彼の泰然とした様子を見て、少しは安堵したが、なぜか釈然としないものが残った。
このままでは眠れそうにない。ゲイルさんと話をしてみよう。発令所への立ち入り禁止はすでに解かれたと聞いているから、医務室に居るはずだ。僕は、すっかり通り馴れた配管とハッチだらけの通路を通って下に降り、後方の一角にある医務室を目指した。