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水深800メートルのシューベルト|第1014話

 もう少しで、十八時の僕の勤務が始まる。しかし、光が差し込まないので、時計の数字は勤務の開始と明けを意味するに過ぎない。彼は辛そうに皿を見ながら告解しているような顔をしたが、ここでの不眠は珍しくないので、彼の言葉に特段驚かなかった。


「ゲームをしているからだよ。あの光は脳を刺激して眠りにくくするんだ」
 いつかゲイル先生に教わった話をした。彼は目をちらっと上げて、僕を見たが何も言わなかった。すると、目の前にいたソナーマンのうち、若いが頭のてっぺんの毛髪が少し薄く目尻の垂れ下がった男が口を開いた。

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