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水深800メートルのシューベルト|第432話
爺さんには関係ないけど。こいつが気に入った女だから、奢ってやろうと思ってな」
「ほっほ。ガキどもの小遣いじゃ買えんじゃろ? やめておいた方がいいぞ」
「ふん、金はあるさ。でいつ現れるんだ?」
メイソンは苛立ったように尋ねた。
「さあな、夜にいることが多いがの。今日はまだ来ておらんようじゃ。噂では、あの子はまだ若くて、飲んだくれのお母さんのために働いているらしい。悪いことは言わん、あんまりジェシカと関わらん方がいい。本当に母親思いの優しい子じゃから」
「うるせえよ。だったら、俺たちが買ってやれば、そいつも助かるじゃねえか」
メイソンは、余計なお世話だと言わんばかりに横を向いた。