自分の家のバルコニーを見つめた。時折、彼女が出迎える代わりに姿を見せることがあるからだ。しかし、透かし模様の入った金属製のフェンスの向こうには人影がなかった。益々不安になった。
こうなったら、誤解があれば早く解きたい。そのためには、叔母さんがセペタを家に招かなないかと不安になった。送ってくれた彼には悪いが、帰宅して最初の仕事が妻のご機嫌取りなので、余計な気遣いはしたくなかった。セペタは首を傾げた。
「どうした? 喧嘩なら、仲裁に入ってやろうか?」
そう冗談めかして言ったが、僕が首を振ると、こちらの事情を察したようだった。
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