水深800メートルのシューベルト|第399話
「早くやれよ。とっとと仕事して帰りたいんだよ、俺は」
ブライアントが怒ったような声を発したので、僕はパイプを銜えるしかなくなった。
最初は軽く吸って鼻から煙を出していたが、バーナードが「深く吸えよ」と言って、鼻を摘まもうとした。
「ゲホッゲホッ。吸うから、そんなことをしないで!」
思わず大声を出して、彼の手を引っ込めさせた。
もう吸うしかないんだ。僕は投げ遣りになって、パイプを口の奥まで銜え込み、深く煙を吸った。先ほど車の中で嗅いでいた時よりは、嫌な感じがしなかった。目一杯吸って、息を止め、鼻から少しずつ煙を出していると、「いいぞ」と言うブライアントの声が聞こえてきた。