水深８００メートルのシューベルト｜第１９７話
「きっと誰にでも懐くから、どんな環境にも適応できるわ。不器用で、お手伝いはあまりできないけれど。困った時には、わざと冷たくして突き放せばいいの」
ママは最後には、秘密の話をするように小声になった。オリビアさんが黙り込んでしまったので、ママは僕の頭に手を伸ばしてきた。
「近いうちに迎えに来るから、いい子で待っているの、アシェル。きっとコリーニもあなたのパパになってくれるはず。それにはあなたが頑張らなくちゃね。もうすぐ学校に行く歳だから、お勉強もしなくちゃね。コリーニのような会計士になってくれるといいわね。そうなってくれたら、ママ嬉しいわ」
僕は、その仕事が何だか知らなかったが「うん、頑張るよ」と答えた。