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水深800メートルのシューベルト|第1007話

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  体を鎮めるような眠気と意識の揺り戻しの間で無限の間揺れ動いていた。緑の魚雷格納庫の隙間に毛布を敷いて寝たのが間違いだとわかっていた。


僕のベッドを共有しているロバートが、イヤホンを耳に携帯ゲームをしていて、動こうともしなかったのだ。彼の目に入るように近づいてもだ。彼は眉を吊り上げ、下から睨むようにして、イヤホンを片方だけ外して言った。
「ベッドは探せば空きがあるんだから、他で寝ろよ」


 彼の勤務は始まりが近いはずだが、動こうとはしなかった。後三十分もしたら空けざるを得なくなるはずだが、そこまで待てない。今度こそは疲れと蓄積する睡眠不足でたっぷりと眠れそうになっていたのに。そもそも、彼は後一時間もしたら勤務時間だった。

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