「はあ? 何を言っているんだ? お前、俺の親切を無駄にする気か?」
ナージフさんは怒ったような口調で言った。ラスウェルさんは、表情を変えずに首を少し傾げた。
「逮捕されたのなら、もう弁護士はついているはずだ。殺人だから、誰が弁護しても罪はそう変わらんよ。証拠も揃っているようだし」
「わかりました」
すると、僕の返事に納得がいかなかったのか、彼の目は微かに大きく開いた。
「どうした? メリンダはお前の恋人か?」
「いいえ、一度デートをしただけです」
「ガキが……、上客だったのか? カツアゲした金でデートとはな」
僕は首を振った。
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