水深800メートルのシューベルト|第6話 10 吉村うにうに 2021年11月21日 21:50 視界の右端には、セペタの顔。オリーブ色の顔に線を引いたような真っ直ぐな鼻筋。深く窪んでいる眼には焦燥と不安が浮かんでいた。その眼にすがりつきたい心持ちでいると、彼の左耳の後ろに、ベッドの仕切りであるグリーンのシートが眼に飛び込んできた。またグリーン。「ヒイイッ」 落ち着きかけていた呼吸が再び暴れ出した。「た、助けて」声にならない声を上げた。 第5話へ戻る 第7話へつづく ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #小説 10