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水深800メートルのシューベルト|第1039話

 前の方で壁にしがみついていたロバートは、ノーマン中尉に続いた男のひとりの袖を引き、何かを話していた。引き留められた男は早口でまくし立てると、ロバートの手を振り解くような仕草をして、足早に去った。


 ロバートは、僕の方を見ると、舌打ちしながら歩み寄って来た。
「アシェル、すげえぞ。原子炉緊急停止だとよ」


 その言葉は胸に重く響いた。これが止まってしまうという事は……。電源が尽きるという事なのだろうか。だったら浮上しなければ。恐怖に駆られた僕は「な、なあロバート」と助けを求めようとした。

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