水深800メートルのシューベルト|第370話
不思議なことに、笑顔を作ると、苛立ちはお腹の底に小さく沈み、理由もなく楽しいような気分になる。しかし、それを続けていると顔の筋肉がピクピクと痙攣し、なぜ笑顔になったのかがわからなくなったので、馬鹿馬鹿しくなり、ベッドに横たわった。
目を閉じてみたが、日の光が窓から射し込んできて、体はぐったりしているのに、どうしても意識が深淵に引きずり込まれるような、あの感覚が湧いてこなかった。
寝返りを打って、体をじっと動かさずにいると、ブライアントの嫌味な顔やメイソンの怒ったような恐ろしい顔が次々と浮かび、昨日の出来事が思い出されてきて、時が動かなくなるような感覚に陥った。