「おじゃめし円」とよばれているものについて
おじゃめし円の父(適当)です.真実をお話しします.
発端
そもそも「おじゃめし円」とは,筆者が『船旅』をしていた際の誤読によって生まれたものです.
(『船旅』:『数学オリンピック幾何への挑戦 ユークリッド幾何学をめぐる船旅』のこと.税込3410円でユークリッド平面を無限に旅しつづけけられるよ!みんなも出港しよう!)
以下に「おじゃめし円」の主張をまとめておきます.なお,この円の証明は「一般化おじゃめし円」の節でおこないます.
おじゃめし円
三角形$${ABC}$$について,点$${B}$$から直線$${AC}$$におろした垂線の足を$${B'}$$,点$${C}$$から直線$${AB}$$におろした垂線の足を$${C'}$$とする.辺$${AB}$$を直径とする円と線分$${CC'}$$を直径とする円(上ツイートにおける緑の円)の交点を$${M,N}$$,辺$${AC}$$を直径とする円と線分$${BB'}$$を直径とする円(青い円)の交点を$${P,Q}$$とする.このとき$${4}$$点$${M,N,P,Q}$$は共円(赤い円)である.この円を(本記事では)おじゃめし円とよぶ.
さて,「誤読したけど問題になっちゃった!!!ガハハ!!!」で済むはずだったこの円ですが,実はナタデココ入りさん(Twitter:@NATA_de_Koko1)のリプライによって,いろいろ発展していたことがわかりました.さらに,TLを見る限り,現在もその考察が進められているっぽいです.以下では,現在どうなっているかについて,筆者のわかっている範囲で説明していきます(足りない点もあるかと思うので,ご意見などありましたら,お伝えしていただけると嬉しいです).
一般化おじゃめし円
おじゃめし円を一般化したものです.以下のナタデココ入りさんのツイートが初出だと思われます.なんだか聞こえがよいので,この記事では「一般化おじゃめし円」と呼ぶことにします.
以下では,一般化おじゃめし円が存在することの証明をしていきます.
一般化おじゃめし円の存在
三角形$${ABC}$$の内部に点$${P}$$がある.直線$${AP}$$と直線$${BC}$$の交点を$${A'}$$,直線$${BP}$$と直線$${CA}$$の交点を$${B'}$$,直線$${CP}$$と直線$${AB}$$の交点を$${C'}$$とする.このとき,以下の$${6}$$点は共円(図1の赤い円)である.
辺$${AB}$$を直径とする円と線分$${CC'}$$を直径とする円(図1の緑の円)の$${2}$$交点
辺$${BC}$$を直径とする円と線分$${AA'}$$を直径とする円(図1の青の円)の$${2}$$交点
辺$${CA}$$を直径とする円と線分$${BB'}$$を直径とする円(図1の黄の円)の$${2}$$交点
証明の概略
緑の円の$${2}$$交点と黄の円の$${2}$$交点が共円であることを示せさえすればよいです(図2)(これさえできればあとは同様です).
ここで,適切に緑・黄の円を選ぶことにより,緑の円と黄の円の交点は点$${B}$$から直線$${CA}$$におろした垂線の足,および点$${C}$$から直線$${AB}$$におろした垂線の足に一致します(直径なので).一方,この$${2}$$点と頂点$${B,C}$$は共円なので,この円を紫色で書き加えて考えてみます.
図3・4のように$${3}$$円の根軸を考えてみましょう.$${3}$$円の中心は同一直線状に無いので,3つの根軸は1点で交わります.さらに2つの根軸は$${B}$$から辺$${CA}$$におろした垂線と$${C}$$から辺$${AB}$$におろした垂線に一致します.というわけで,まとめると以下の図5のようになるので,あとは渾身の根心について方べきの定理を使えば,共円であることが示されます.
一般化おじゃめし円の中心に関する議論の紹介
一般化おじゃめし円の中心について,有識者の方々によってさらに議論が進んでいます.以下では,その内容を紹介していきます.なお,これ以降の議論については,筆者自身追い切れていないのが現状なので,この記事では紹介という形にとどめさせていただきます.ご了承ください.
一般化おじゃめし円の中心は重心座標と相性がよさげ?(予想)
るささん(Twitter:@rusa6111)によるものです.
体育会系数学部部長(自称)として,これは是非やっておきたいのですが,まずは重心座標について勉強しなければいけませんね……(←部長引退案件では?)
一般化おじゃめし円の中心と有名点の関係
ナタデココ入りさんによるものです.先ほど出てきた点$${P}$$が有名点のとき,一般化おじゃめし円の中心もおもろい位置にいるのではという内容で,一部証明がなされているらしいです.
さらに,これに関して立見鶏さん(Twitter:@StandeeCock)がさらなることを述べておられました.
なんか,すごいことになっていますね……(小並感)
終わりに
さて,おじゃめし円に関する諸々について大体紹介はできたと思います.面白そうな予想やまだ見ぬ性質もありそうなので,皆さんもぜひおじゃめし円と触れ合ってみてくださいね!(「実は典型構図でした」とかだったら悲しいが……)
また,今回の記事では御三方のツイートを引用させていただきました.様々な性質を教えてくださり,本当にありがとうございます.
ところで,ここまで読んでくださった方は次のような感想をおもちになったのではないかと思います.
あれ?おじゃめし,おじゃめし円について何も考察できてないな?
おじゃめし,誤読しかしてないじゃん.
うっ.まったくもってその通りです.おじゃめし円に関して自分がしたことといえばただ一つ.問題を誤読したことだけです.TLを見ると「おじゃめし円ってなんですか?」みたいな空リプが増えており,筆者自身,自分の半値が使われているのはうれしく思うのですが,「問題を誤読しただけにもかかわらず,そして自分がその後の議論に何ら寄与しているわけでもないのにもかかわらず,『おじゃめし円』という名前が独り歩きしつつあること」「同様の誤読をした人がほかにいらっしゃること(観測済)」を考えるとちょっと複雑ですね(「何も寄与できていないので,せめて現在わかっていることは責任もってまとめておこう」と思ったのが,本記事を作成するに至った理由です……).まぁ,なんだかんだで「おじゃめし円」という名称がちょっと広まってくれたら,筆者としては喜ばしい限りです.
ではでは!
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