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私が700日続けたShowroomの毎日配信を辞めたわけ

(※悪意はないけれど、多くの方を不快にさせてしまうかもしれないので先に謝っておく。
私のファンの皆様、全力で配信を頑張っている方やその方のファンの皆様、全方位へごめん)


夢を追う人を「応援したい」というのは、何物にも代えがたい尊い感情だ。
その気持ちをいい意味で利用したのが”ライブ配信”で、最近主流になっていることを鑑みても、やはりその仕組みは素晴らしいと思う。
何かを発信したい人・応援してほしい人がライバーとして配信をして、ファンと二人三脚で夢を掴む。
初めて知ったときは「なんて合理的なんだろう」と感心したものだ。

私がライブ配信と出逢ったきっかけは事務所にあった。
今までクラシック畑で育ってきた私は、知り合いしか呼べないコンサートに疑問を抱き、右も左もわからぬままに外へ飛び出したばかりだった。
「とにかくファンがいなければ何も始まらない」と力説する社長から、具体的にファンを増やす方法として”ライブ配信”を教わったのである。
そして早速「ライブ配信をして、新規ファンを獲得せよ!」との指令が下った。

私に用意されたプラットフォームはShowroomだった。
慣れぬ最初のうちは、事務所に言われるがままイベントに参加していた。
配信の勉強のため、ライバー同士で仲良くなるため、しばらくリス活もやっていた。
そのうちにイベントで上位に食い込むには、かなりの時間を配信に割かなければならないと知り、愕然とした。

ファンの多いライバーの配信にお邪魔すると、イベント中の熱量がそれはそれはすごいのである。
ライバーは効率よくポイントを投げてもらうために、1日の配信スケジュールを組み立てるし、リスナーはリスナーでそれを把握して、時間通りに集合する。
その勢いを目の当たりにして、正直「みんな暇かよ!」と思った。
(いや、なんとか時間を見つけて頑張ってるんだよね。ごめんね)

もちろんそれで生計を立てている人も、夢を追いかけたり叶えたりしている人もいるし、その覚悟があれば非常に意味のあることだと思う。
そうでなくても楽しんでいるのであればいいのだ。

ただ私のように、あわよくばファンが増えてくれたら嬉しいな~程度の中途半端な気持ちで配信をしている者にとっては、いささか荷が重すぎた。
そんな猛者たち相手に勝てるわけがなくて、応援してもらうのもだんだん申し訳なくなり、イベントに参加するのは早々にやめてしまった。


今思えば、私は本当にライバーに向いていなかったのだと思う。
そもそもスタート地点から、「有名人ならまだしも、全然知らん私の話を聞いて何が楽しいの?何の価値があるの?」と斜に構えてしまっていたからだ。
ずっと疑問を抱きながら続けていたけれど、私がリスナーの方に何を提供できていたのか、未だに答えはわからない。

何より、どうしても相容れなかったことに”頑張っている姿を見せる”というのがあった。
変に職人気質の私には”そもそも努力なんて舞台裏は人に見せるもんじゃない。お客様にお見せしていいのはステージ上の華やかな姿だけ”という意識が刷り込まれてしまっているため、こんなことをしてる時間があるくらいなら、少しでも練習をして技術を磨いた方がマシだとまで思ってしまった。
ここが私のよくないところである。
何のために視野を広げようとしたのか、すぐに見失ってしまうのだ。
”ファンを増やす”のが目的だったのに、これじゃ本末転倒だ。

イベントに勝っては「ありがとう」と泣いて、負けては「悔しい」と泣くライバーは、確かに”頑張っている”ということがわかりやすい。
それを見ていて、やはりわかりやすいものは愛されるのだな…!!と痛感したが、同時に女の武器を持て余している私には、到底真似できそうもないと思い、完全に気持ち負けした。

天然であれ策略であれ、それが嫌味なくできる才能のある人が勝ち残っていく世界なのだ。
心を殺してまで愛嬌を振り撒こうと思えなかった時点で、私はこの世界でもまた宙ぶらりんになってしまった。

(くれぐれもこれは、割り切ってキャラを演じることもできず、実力も足りなければ人気もない私の完全なる負け惜しみなので、どうか鼻で笑って一蹴してほしい)

とはいえ、ろくにやってもみずに文句を言うのは、この上なくダサい。
良さを知るために、とりあえず続けてみることを目標とした。
こんな捻くれた私のことだ、一度辞めたら多分もうほとんどやらなくなるだろうことは目に見えていた。
だから”毎日好きな時間に15分だけゲリラ配信をする”という最低限のハードルを設定することで、なんとか気持ちを保つ。
(Showroomのシステム上、毎日連続して15分やっていれば、その日数が長いほど目立つポジションを確保できることになっている)
公式ライバーは、カラオケし放題なのが幸いだった。
でなきゃ空に向かってしゃべる虚無の15分間になってしまうところだった。

不思議なもので、続けているとそんな誰よりもやる気のない私の配信にも、遊びに来てくれるファンが少しずつ増えていった。
本当にありがたいことだ。
いつもは歌って誤魔化していた配信も、ファンの方が来てお話をしてくれたら交流が生まれる。

出逢うはずのなかった日本全国(たまに世界各国)にいる方と間接的にお話ができて、一緒に時間を共有できるのがライブ配信の醍醐味だなと、その瞬間だけ心から思えた。
活動をし始めてすぐにコロナ禍に突入してしまい、思うようにライブができていない私にとって、いつしか配信はオンライン上でのオフ会のような存在になっていった。

Showroomで奇跡的に出逢って、今も変わらず支えてくれている方とのご縁を、私はとても大切に想っている。
遠くにお住まいですぐに逢えるわけではない方には、私がもっと自由に活動できるようになったら絶対に近くまで逢いに行くから、首を洗っ…長くして待っててね!とまで思っている。
いくらオンラインで深く繋がれたとしても、リアルで逢ったことのある人にはきっと敵わないという限界も見えたからだ。

だから今の私には、地道にライブ活動をして経験を積む必要があるように思える。
クラシックを離れた瞬間、本当に何もかもド素人になってしまった。
これじゃ、せっかく配信で知り合っても「来てね!」って自信を持って誘えないもの。

というのは建前で、本当は連続配信期間が長くなれば長くなるほど怖くなってしまったのだ。
いつか不本意な形でこの記録が途絶える日が来ることが。
そう思う頃には、最低限の目標である”毎日15分”ですら、ただの義務になってしまっていた。
もちろん楽しいこともあったけれど、日に日に向いていないことを自覚するのはあんまりいい気分ではなかった。
どれだけゆるゆるやっていてもしんどいもんはしんどかった。
それならば、変な恥を晒して癒えぬ傷を負って二度と戻れなくなる前に、自分で終止符を打ってしまえと思ったのが真相だ。
私には700日が限界だった。

予想通り、連続記録を終わらせた後は全然配信をしなくなってしまった。
億が一、楽しみにしてくださっている方がいたならば大変申し訳ない。
ちょっと無理をしていたのか反動がデカく、どうにも苦手意識が払拭し切れないのだ。
でも完全に辞めてしまうのは、どこかでもったいないとも思っている。
何事も白黒はっきりさせなければ気が済まないのは私の悪い癖だし、「やるならやれ、やめるならやめろ」と0か100しか選択肢を用意しないのは、自分の首を絞めて身を滅ぼしかねない。
今はまだ、グレーなところでうだうだ言って拗ねていたいのだ。

「よっしゃ、やったろ!」と前向きな気持ちになった時に、楽しめる範囲でまたやりたいと思う。
願わくば、その際は変わらずに逢いに来てくれたら嬉しい。一緒に心理テストをやろう!
それまで「忘れないで」なんて、虫のいいことは絶対に言えないけれど。

700日は決して短い時間ではなかった。全然あっという間じゃなかった。
でもやってみてわかったことがたくさんあったから、限界までやり切ってよかった。
拙い配信をずっとあたたかく見守ってくれた方、本当にありがとう!!
(これからもよろしくお願いします!!)


#Showroom #ライバー #配信 #エッセイ  


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