「人生の答え合わせでした」
ある晴れた遅夏の夕暮れ。
先輩と出張先から職場に戻る道すがら、ふわっといい香りが漂ってきた。
「金木犀だ、すっかり秋めいてきましたね」
と話し掛けると、
「ここら辺一帯は、金木犀だらけなんだよね。ほら、これ」
と、先輩。
そういえば私は金木犀の本体を見たことがなかった。香りの主張の割に、なんてことはない小さな花だ。
「初めて見ました!先輩は金木犀がお好きなんですか?」
金木犀本体を知ってる人なんだから、そりゃそうだろうが。
すると、予想の斜め上をいく答えが返ってきた。
「元彼