法律の管轄外でのピルを処方しホンジュラス女性たちを守る「Morning After Island」
Summary
ホンジュラスでモーニングアフターピルの禁止を覆すために奮闘しているNGO、Grupo Estratégico PAEは、ホンジュラスがラテンアメリカで唯一モーニングアフターピルを禁止している国であり、性暴力の被害によって、18歳になる前に妊娠する少女が多いという問題に取り組んでいるが、NGO団体がどんな活動をしても、政治に影響を与える大きな声にはならないという問題に直面していた。
この問題の理由のひとつとして、「ホンジュラスの女性の権利は、政府によってコントロールされるのはしょうがない」という国内のあきらめもあるのではないかと推測される。
しかし、その背景には、「自分たちの権利を守りたい」という、ホンジュラス女性たちのインサイトがある。このインサイトに応えるため、Grupo Estratégico PAEは、「公海に出れば、法律の管轄外となる」という事実と、「ホンジュラス政府は歴史的に地元の不満よりも国際的な圧力に対してはるかに敏感である」という事実に着目した。これらをもとに、法律の管轄外の場所でモーニングアフターピルを提供することで、国内から大きな話題を集め、それが国外からの支持と圧力に繋げることができるのではないかと考えた。
そこで、ホンジュラスの管轄外の公海に停泊するプラットフォームを設置し、女性にモーニングアフターピルを提供する施策と、この施策を撮影し、共有したくなるような短い映像を制作した。ミレニアル世代やZ世代に対して、嘆願書への署名を促す行動を喚起した。
このアプローチによって、「ホンジュラスの女性の権利は、政府によってコントロールできるものではなく、自分たちで手にするものである」という価値変容を起こし、ホンジュラスの女性の窮状に対する世界的な認識を高め、政府に対する圧力を強化し、法改正を促進した。
※コミュニケーションの直接なターゲットはホンジュラスのミレニアル世代やZ世代の女性だが、最終的なターゲットはホンジュラスの政府である。どちらをターゲットと捉えるかで、分析の文脈は変わってくる。
Deconstruction
Brand
NGO、Grupo Estratégico PAE - ホンジュラスでモーニングアフターピルの禁止を覆すために奮闘しているNGO団体。
Target
ホンジュラスの女性。
Objective
ホンジュラスがラテンアメリカで唯一モーニングアフターピルを禁止している国であり、18歳になる前に妊娠する少女が多い → 政府に法律の廃止を促す。
Barrier
ホンジュラスの女性の権利は、政府によってコントロールされるのはしょうがない。
Insight
自分たちの権利を守りたい。
Thought starter
「公海に出れば、法律の管轄外となる」という視点と、「ホンジュラス政府は歴史的に地元の不満よりも国際的な圧力に対してはるかに敏感である」という事実に着目。これらをもとに、法律の管轄外の場所でモーニングアフターピルを提供することで、国内から大きな話題を集め、それが国外からの支持と圧力に繋げる。
Execution
"Morning After Island"
ホンジュラスの管轄外の公海に停泊するプラットフォームを設置し、女性にモーニングアフターピルを提供する施策と、この施策を撮影し、共有したくなるような短い映像の制作。ミレニアル世代やZ世代に対して、嘆願書への署名を促す行動を喚起する。
Transformation
ホンジュラスの女性の権利への価値変容
政府によってコントロールされるもの → 自分たちで手にするもの