「スカジ、誕生日おめでとう!」 私の執務室にグラニの声が響く。 名前を呼ばれた本人は特に気にすることなく、事務作業をしている。 「ちょっとー! 少しくらい反応してよ!」 「はぁ……聞こえてるわよ。グラニ」 「はい、これ」 グラニは人懐っこい笑顔を向けながら、包装された箱状のものをスカジへと手渡した。 これはチャンスである。斯く言う私もスカジのプレゼントを用意していたのだが、如何せん渡すタイミングが分からず、今まで過ごしてしまった。第一、いつも秘書業などせず私をぼーっと
0. 夢とは籠ではなく迷路であり、収容ではなく逃避なのだ 1. ダリの夢を見た。……ん? ダリとは誰だ? ははは。まるでダジャレだ。 さて、日課の見回りにでも出ようか。 目を覚ました私は朝の日課をこなすべく、自室を出た。私の自室がスタート地点であり、アーミヤの待つ制御中枢がゴールだ。 廊下を歩いているとフェンと出会った。行動予備隊A1の隊長でクランタの少女だ。 「やあ、フェン。君やクルースがいないと古城探索は始まらないからね。よろしく頼むよ」 クランタ特有の素早