村の点灯夫

村の点灯夫は雨の中を帰っていった。
村、点灯夫、雨、そんな光景があったのだ、こんなところに。
迷い込んだ献灯の下で、梨の花が雨に打たれている。
日本というところだという、日本の村だと。

こんな光景は予想もしてない。
「こんにちは」という。
「さようなら」という。
村役場の前で、それも村の役場の。
点灯夫の雨合羽のひだを、雨が伝っていた。

自分がじじつ星の王子だとして、
案内人はどこへ行ったか。
雨の中を誰かが帰っていく光景が、いつ紛れ込んだか。

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