白い台地
原初の頃、そこは真っ白な台地だった。
見渡す限りなにもない、無。「何もない」という美だけがそこにはあった。
しかし時と共に人の手が介入。透明で硬いガラス製のビルが建った。と思いきや数分後にはペコペコして柔らかいロケットみたいなビルが建った。今までもその、ロケットみたいなビルが建つことは頻繁にあった。あったのだがそれはすぐに台地から姿を消していた。そういうビルなんだと思っていた。
しかし、最近なんだか様子が変なのだ。ロケットみたいなビルがなかなか姿を消さない。それどころか増えている。同じ赤いマークのついた似たようなものが多い。もっと大きくて「天然水」と刻印してあるロケットも2台3台と鎮座している。
他にもガラス製ロケットやピンク色で「アイボン」と刻印のあるもの、「GUM」と刻印のあるロケットは逆さの状態でそこにある。どうやって飛ぶのだろうか。
世界は意図せず変わってしまうものだ。人の力は小さい。
それでも。それでも私は原初の頃にみた、あの素晴らしい美をもう一度この目で肌で感じたい。記憶に焼き付けたい。そう思いながらいつもこう祈っている。
「使ったものは元に戻せ。置きっぱなしはゴミ屋敷の始まり。」
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