表現とは、「正解」の数を増やすことである
りんごが「りんご」である確証はどこにもない。赤くてまあるくて、皮を剥けばみずみずしい黄色をしているそれは、わたしにとっては確かにりんごだけれど、他者から見たら全く違う果実なのかもしれない。わたしが見ているりんごの姿は、所存わたしひとりの目を通して映し出されているものであって、全人類が同じようにその姿を目にしているかどうか、何年生きても自信がない。
そもそも、自分では「赤い」と認識している物体が、他者の目を通してもなお同じように赤く見えているか、それさえも永遠に謎だ。わたしが