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エッセイや小説を、殴りながら書いています。

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その一杯とキャラメルソースに、愛を込めて

学生時代、3年間スターバックスでアルバイトをしていた。早朝4時半に起きて出勤し、6時半から15時まで働き、そのまま大学へ行くというなかなかドMな生活をしていたが、今思えばあの日々が一番の青春かもしれない。大人になって思い出を整理できるようになった今、改めて昔のことを思い出してみても、スタバに勝る熱い記憶はあまりない。 夢だった編集の仕事をし、こんなふうにつらつらと長ったらしい暗い記事を地味に書き続けるわたしだが、意外なことにも、めちゃくちゃ元気に働くキラキラした(今よりはだ

    • きっと、多分、絶対。20代最後の恋だった。

      「皮肉」という言葉は、皮と肉でできている。……なぜ、骨がないんだろうか。そんなことを思ったのは、通勤中の電車の中。前日に起こったことをあまり考えないようにしながら顔色が悪いまま電車に乗り、運よく空いていた座席に座ってふと上を見上げたら、昔はずらりと並んでいたはずの中刷り広告も少なくなっていた。頭はボーっとしていて、ただ「そうかぁ」という虚無感を感じ、ポケットに入れていたスマホを出した。周りをみると、みんなやや下を向きながらスマホにくぎ付けだったから、電車の中で上をみることは割

      • 言葉は人の心の水から育まれるもので。

        心って、水でできているんじゃないかと思う。 また何を言っているのか、と言う話なのだけれど、わたしは本気で思っていることで。 梅雨の時期だからなのだろうか、少しだけ今日は綴りたくなったから書いてみる。 いつも、こう何かを伝えたいとなると、かしこまってしまって、ちゃんと書かなきゃとか構えがちなのだけれど、今日はライトな気持ちで書いてみる。 そんな記事もきっと悪くない。 脳みそと心臓があることは医学的に証明されているのに、心の行方はレントゲンでは確認できない。目では見えなくて、あ

        • 「ものづくり」と、今のわたしと、近くにある死に敬礼を。

          良いことが起きてしまうと、その直後にこれは悪いことが起きる前兆なのだと考える癖がある。 昨日がまさにそうだった。初めての大きな会場で、というかどう生きてきたらこんなことが起きるんだという文化的な施設で。 ずっとちまちまと彫っていた消しゴムはんこの個展とワークショップをした。場所は東京オペラシティ。そんなことがあるのかという、びっくり仰天。 想像の何倍もの方が来てくれて、わたしに会いに来てくれる方もいて、数えきれないくらいの方の生きている手を見て、世界に一つの作品が産まれる瞬

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        その一杯とキャラメルソースに、愛を込めて

        • きっと、多分、絶対。20代最後の恋だった。

        • 言葉は人の心の水から育まれるもので。

        • 「ものづくり」と、今のわたしと、近くにある死に敬礼を。

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          読まれたくて書いたことなどない。生きている実感が欲しいから、今日もわたしは。

          歴史上の人物は、生きているうちには評価されない方がほとんどだ。教科書に載るような、いわゆる昔の「偉人」の爪痕は、リアルタイムでは人の目にはつかず、後になって誰かにとっての大切になり、その波が大きくなり、なくなったその後偉人になることが多い。 わたしは、いつも思う。「じゃあそれって制作した方の本当の気持ちが伝わることって、ないのではないだろうか。誰かが勝手にまつりあげた、偶像でしかないじゃないか」。その人がどういう思いでその作品をつくったか、どういう環境で誰に向けて、どんな気

          読まれたくて書いたことなどない。生きている実感が欲しいから、今日もわたしは。

          「生きろ」なんて他人に言うのは無責任だ。壊れたわたしは、死にたくなったら遠慮なく死のうと思うのだけれど。

          この世の中、「生きること」が美徳になりすぎている。生きることこそが正義みたいな世界になっている。上手に生きるためのメソッドだとか、賢く生きるための心得だとか、あなたの人生は尊いだとか、生きることに感謝してなんぼだとか。そんなものが溢れかえる世界に、わたしは息が詰まって仕方がない。 人に生きろという癖に、今生きている人間は一度も今の個体で死んだことがない。輪廻転生があるのならば、正確には前世の記憶がないという話になるのだけれど、ここは等しく人間は同じ時間を生きている動物だという

          「生きろ」なんて他人に言うのは無責任だ。壊れたわたしは、死にたくなったら遠慮なく死のうと思うのだけれど。

          あの男性には、愛が満ちている気がして。

          最近、カメラにハマっている。父から一眼を譲り受けて写真を撮りまくっているけれど、やっぱりフィルムが好き。なんでだか、気持ちがのるのだ。その時の気持ちが表現できる気がして。 フィルムが、好き。カシャ、の瞬間が好き。あちこちのいろんな景色をフィルムで撮りたい。今感じるワクワクは、フィルムカメラのこと。 そんなことはさておき。 これは最近のこと。フィルムの現像の待ち時間、1時間くらいであがると言われたので、スタバでアイスパッションティーを買って駅前の広場で座ってた。お休みの日とい

          あの男性には、愛が満ちている気がして。

          汚れた身体を抱きしめて、死ぬまで生きていく。

          社会人になりたての頃。まだ家族と一緒に住んでいたいつもの帰り道。知らない男の人に襲われかけた。 舌の感覚、触られた感触。駐車場、生ぬるい梅雨の匂い。嫌なことこそ忘れられなくて、数年経った今でも覚えている。 この手の人は嫌がったらヒートアップするとわかっていたから、頭を使って受け入れるふりをして、隙を見て逃げた。 家を見つけられないように、何度も何度も道を遠回りして走って、自販機で買った水で何度も口をすすいだ。 無事に家についたわたしは、父に遅くに起こすなと殴られた。母はただ泣

          汚れた身体を抱きしめて、死ぬまで生きていく。

          3月31日のわたしへ。「今」があるのは、あなたのおかげです。

          早稲田大学教育学部卒業。頭が悪かったあなたは、誰にも期待なんかされずに、無謀にも早稲田を受けましたね。挑戦したそのほかすべての大学は落ち、最後に受けたこの学部だけ合格。高校2年までは部活、3年生は一年間死ぬほど勉強したあなたは、その発表を受けて馬鹿みたいに高校3年生の3月を謳歌します。受験前に振られた男の子を見返しましたね。誰もわたしが早稲田に行くなんて思っていなかったのでしょう、なんだか高校で少し人気者になります。インキャで戸惑ってますよね、それでいいです。今のわたしもそん

          3月31日のわたしへ。「今」があるのは、あなたのおかげです。

          笑福亭鶴瓶さんがくれた言葉

          その日は、わたしにとってとびきりの挑戦の日だった。 夢に向かってがむしゃらに動いては悩んでおり、ずっと燻っていた自分だけれど、行動しなければ何も変わらない気がして、その行動が思いっきり結果につながっていた時だった。 正直、何が起きているかわからなくて、心の中のモヤモヤやぐるぐるを抱えながら、いつもよりもオシャレをして外に出たものの、なんとなく上を向けないまま歩いていた気がする。 * わたしは出先でタクシーを待っていた。気づけば時間が過ぎていて、すこし急いでいた。 道路で

          笑福亭鶴瓶さんがくれた言葉

          いつかやってくるその日まで。紡ぎ続ける、ひとつずつ。

          人の幸せには、総質量というものがあるらしい。なにかが突出してプラスに働くと、バランスを保つように不幸な出来事が起きるとのこと。 仕事がうまくいくにつれて私生活がボロボロになっていくわたしにとって、その話はとても納得がいくもので、聞いた時のわたしは頷いて情けない口の形で「ほ~」と言っていた気がする。実際は頭にグサリと矢が刺さったような音がするくらい、響いた言葉だったのだ。 総質量。人にはバランスがあるから、そういうものは、確かにあるのかもしれない。悲しい出来事が降りかかってき

          いつかやってくるその日まで。紡ぎ続ける、ひとつずつ。

          SNSの勧誘に向き合ってみた結果と、割としょうもない自分の話。

          記憶ってやつは、不思議だ。 この冒頭は、あまりにもありきたりで、でもなんだかそれっぽい何かだから、修正するのはやめた。最初に浮かんだものは、大体意味がありそうでなくて、やっぱりありそうで。そんな感じでいい。甘ったるくて嘘くさいくらいの言葉選びが楽しい。格好悪いのが、格好良かったりする。ダサいのがちょうどいいのだ。 今日一日、頭の中でミニモニの曲が流れていた。タイトルは忘れた。20年以上前くらいの曲だろう。曲名を調べれば良いのに、歌詞も少しは覚えているのに、調べたら何か大切

          SNSの勧誘に向き合ってみた結果と、割としょうもない自分の話。

          「ありがとう」の花束を

          人生がひとつのドラマだとしたら、今のわたしは何話目にいるんだろう。毎週テレビの前で涙を流し、これでもかというほど夢中になって観ていたドラマが終わって、ふとそんなことを思った。余韻でまだ身体が火照っていて、喪失感を感じている。ドラマって、すごいな。一話一話に色があって、次を楽しみに一週間を過ごせる。泣かせたり笑わせてきたり切なくさせたり、忘れていた何かを思い出させてくれたり。心の琴線に触れてくるような言葉が不意にとんできたり。そんな作品をつくれることが、純粋に羨ましい。 世間

          「ありがとう」の花束を

          自分の愛し方を、やっと知ったんだ

          眠りから、目が覚める。先ほどまで脳内で強制再生されていた悪夢が終わって、ほっとする。それと同時に、また朝がきてしまったことに、小さい絶望を感じる。寝返りをうつと、ベッドが軋む。 布団から顔をだして、まだ重たいまぶたを無理やり開くと、見慣れた白い天井が目に入る。ゆっくりと窓を開けると、数秒後に入ってくる冷たい空気。 東京の冬の朝は、不思議だ。東京に染まってるくせに、未だに東京が嫌いなわたし。朝だけはこの都会の喧騒も少しだけ落ち着いているみたいで、牙の鋭いオオカミが幼い顔で眠っ

          自分の愛し方を、やっと知ったんだ

          それでもわたしは生きたくて、ヘルプマークを手にした

          一度目は、5年前。仕事でシアトルに出張に行った時だった。大事な取材が続く日々、突然今まで感じたことのないほどの強い吐き気とめまいで、立っていられなくなった。ホテルのトイレでひたすら吐いて、吐くものがなくなったら体液を出し続けて、それでも足りなくて目から血みたいに涙が流れた。回り続ける視界に困惑して、自分の身体もそれに合わせて傾いて、まっすぐ歩けなくなった。ひたすら寝て、それでも治らなくて、帰国して病院に行って、やっとおさまった。 二度目は、初めてコロナワクチンを接種した時。

          それでもわたしは生きたくて、ヘルプマークを手にした

          東京、レモンサワー・ミッドナイト

          都会が、好きじゃない。嫌いと言ってしまえばそれまでになりそうだから、あえて好きじゃないという表現をしてみる。この感覚をどう説明したらよいか、いまだにわかっていないのだけれど。なんとなく、息苦しくて、酸素が薄い気がしている。 通勤の満員電車には人がたくさんのっていて、その人の匂いにむせ返りそうになる。みんなそこでは目立たないように過ごしているくせに、指先から覗くその先はSNSで、ここにはいない誰かを求めている。その場では自分の姿を消すのに必死なのに、なんだかその世界自体が怖い

          東京、レモンサワー・ミッドナイト