見出し画像

「僕」

僕はお母さんに連れられ、お兄ちゃんの習い事のお迎えに行った。お兄ちゃんは中学2年生。で、塾に通っている。僕は小1から学童に行ってて、今は小学校4年。けど、行きたくないってお母さんに言ったら、最初は行ってって言われてたけど、そのうちもう行かなくてもいいよって言われて、今年の4月とかからは行ってない。代わりにフィーエルヤッペンやってる。けど今日は休み。先生がオランダに帰ってるらしい。

いつも、お母さんはお兄ちゃんを迎えに行かないけど、最近は物騒らしくて、心配だって言ってた。僕はスーパーでなんでもお菓子買っていいよって言われて、一緒に来た。宿題しなくていいかも、ラッキー。

お兄ちゃんの塾は大っきい建物の中にあって、その建物の中にはスーパーとか歯医者さんとかがある。スーパーでキャラパキ買ったあと、お母さんと一緒に、なんか、半分外みたいなベンチみたいなところに座っていた。外は真っ暗で、車はライトをつけて走っていた。こんな夜に外に出てたらたぶん怒られるから、なんかちょっと悪いことをしてる気分?だなと思った。あと、お兄ちゃんはこんな暗い中いつも1人で帰ってくるんだなって思った。ちょっとかっこいいと思った。

僕はコンクリートの床にちっちゃい虫を見つけて、そっと掴んだ。嬉しくてお母さんに見せた。お母さんは、やめて捨てといてもう、床触らないで汚いと言った。

ぱっと前を見ると、去年学童にいた先生が歩いていた。名前は思い出せなかったけど、先生って言って走った。

先生は、前よりなんか老けてるなって思った。口が赤くて、お母さんが出かける時の化粧みたいで、なんか嫌だった。先生は僕を見るとちょっと驚いた顔をして、こんなところで会うなんてーと言った。僕は手に持った虫を見せた。先生は、虫好きだねーと笑って、じゃ、と歩いていった。

僕は向こうに歩いていく先生に、次いつ学童来るー!?と大っきい声で聞いた。そしたら、いつだろうねーと言っていた。僕はえー!と言った。声が響いて、お母さんに、静かにしてって言われた。そういえば、僕はもう学童には行かないんだった。

いいなと思ったら応援しよう!