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〇うちのレシピ/瀧羽麻子

からあげと卵焼きとほうれん草のごま和えで、
ひとつめのお弁当箱との四分の三ほどが埋まった。
彩がてら、色とりどりの夏野菜を煮込んだラタトゥイユと、
クミンを利かせたキャロットラペも、少しずつ入れてみる。
どちらも店で人気の前菜で、
きらさないよう作り置いてある。
ふたつめには、ピンポン玉くらいに小さく握った
三種類のおにぎりをまず詰めた。
鮭とおかかはごはんに混ぜ込み、
梅干しにだけ海苔を巻いている。

うちのレシピ

生地、専門用語でいうパート・ブリゼは、
さくさくと香ばしく焼きあがっている。
冷蔵庫で休ませる時間を十分にとれなかったわりにはよくできている。
この食感が大事なのだ。
コツはバターと粉を混ぜる時は、
決して溶かさないことである。
溶けるとねばりが出て、
もそもそした口当たりになってしまう。
具は卵と牛乳と生クリームにナツメグ少々を加えたアパレイユに、
甘くなるまで炒めた玉ねぎとほうれん草をまぜこんである。
上にどっさりのせた生ハムの塩気と風味も利いている。
パルメザンチーズを振りかけた表面の焼き色も美しい。

うちのレシピ



お弁当のメニューも、家で出る料理も
家によってはそれぞれ。
その各家庭それぞれの料理を
覗かせてもらえるような一冊。
おいしそうだなあ。



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