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タイにも納豆があるんです。

タイ料理が日本人にかなり馴染みのある料理になって来ましたが、タイで納豆が食べられていることはあまり知られていません。
バンコクに住んでいる日本人やタイ人も!?知らない人が多いのでは?

私がタイ食材を買っている新宿・職安通りにあるタイ食材専門店『アジアスーパーストア』にも、タイ納豆が並び始めたのは割と最近のことです。

納豆はタイの北部で食べられています。
私がタイ納豆と出会ったのはタイの北部・古都「チェンマイ」。
タイは地方によって食文化の違いがある国です。(この話をするとすごーく長くなるので、今回は簡潔に。) 

特に北部は今の王朝とは違い、以前はランナー王朝であった地域。 お寺の様式や、仏像も違います。
太陽がサンサンとして、キラキラのビーチがあるイメージがタイにはあるかもしれませんが、北部は山に囲まれ、時期によっては朝晩は肌寒く、長袖を着ています。
私たちがタイ料理に欠かせないと思っているココナッツミルクやナムプラーも北部では昔は使いませんでした。
なので、今でも伝統的な北部料理はナムプラーやココナッツミルクを使わず、塩や独自の発酵調味料を使って味を調えています。
そしてタイ北部には多くの山岳民族が住んでいます。
彼らは独自の文化を持ち、納豆を含めた発酵食も大切な彼らの食文化です。

タイの納豆はトゥアナオと言います。トゥア=豆 ナオ=腐る。
形状は大まかに3つ。
一つは茹でた大豆で納豆を作り、潰して、円盤状にして干した納豆。

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通称CD。

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このトゥアナオはチェンマイの市場で割とどこにでも売っています。
軽く炙って、粉状に潰して調味料として使います。納豆の臭みはそれほどなく、味噌っぽい。私のベジタリアンタイ料理の師匠パーター(通称ターおばさん)は「日本の味噌で十分代用出来る。」と言い、私が大量にトゥアナオを購入しているのを見て、「日本の味噌、美味しいのに。」と、言っていました。
この平たい干し納豆・トゥアナオは日本の味噌に比べて塩分が少なく、北部料理のコクだしに欠かせません。
納豆だけのプレーンと唐辛子が入ったタイプがあり、唐辛子が入ったものはナムプリック(ディップ)や炒め物に使い、ほんのりピリ辛で美味しい。
軽く炙ったものをちびちびと食べながらお酒を呑むのも良し!


日本の納豆の様に粒々状の納豆もあります。

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トゥアナオムッ。
こちらも日本の納豆ほどニオイはきつくありません。
こちらも調味料として使う事もあるし、葉っぱごと炙って、ご飯と一緒に食べることもあります。
葉っぱに包むバージョンの納豆は、潰した豆を葉っぱに包んで発酵させる場合もあり、唐辛子が入っている場合もあり白いご飯と共に食べることもあります。

トゥアナオを使った北部料理の代表作と云えば、ナムプリックオーンでしょうか。

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豚ひき肉とトマトのディップ (ナムプリックオーン)
野菜やケープムー(豚の皮を揚げたもの)に付けたり、北部の主食もち米(カオニャオ)を手で丸めてちょんちょんとナムプリックオーンを付けて頂きます。
あまり辛くなく、タイ料理が苦手な方でも比較的美味しく頂ける一品。

タイで納豆を食べるのなら、他の国ではどうなのだろう!?
知りたくなりますよね?
素晴らしい本があります。

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『謎のアジア納豆』 高野秀行著 新潮社

納豆を追い求めて著者の高野秀行さんがアジア、日本を旅するノンフィクションです。
夢中になって読みました。高野さんが旅した道筋を私も辿ってみたくなりました。

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