【開催レポート】野草を摘み、食す。「春が山から降りてくる」を体感する里山フォールドワーク
4月24日に、おいしい学校の講義として、『野草を摘み、食す。「春が山から降りてくる」を体感する里山フィールドワーク』を開催しました。
第1回は、春。野草を摘み食しながら、「春が山から降りてきて、山が笑う」とはどういうことかを身体で感じ学ぶフィールドワークです。
食とアニミズム
今回は、植物が芽吹く季節に、「春が山から降りてくる」とはどういうことかを体感するフィールドワーク。里山を歩き、野草を摘み、みんなで調理して食べました。山の恵みを直接いただく感覚、雨が降り植物が喜ぶ感覚。都会暮らしで失われた感覚を自覚し、新鮮に味わう体験となりました。
講師
スケジュール・講義内容
11:30 玉利さんによる講義
情報デザインの考えをベースに、見えない文脈をデザインすることを得意とされている玉利さん。2013年から6年間、東北食べる通信の立ち上げに携わり、写真やデザインを担当されていました。食を通して復興していく東北とを見るなかで、その土地の地理や歴史、人々の営みという世界が見えるようになったといいます。
その後、1年という季節を365日で知りたいと考え、植生を写真で残し続けた玉利さん。時系列に並べていくと365日の芽吹きがグラデーションのように見えました。
「枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け」
江戸時代の哲学者、三浦梅園が言ったように、毎年あたりまえのように花が咲き、季節が移り変わる。自然の変化で暦を捉える人々の営みが脈々と続く。それを体感し続けたのが、コンコントフィールドだったと言います。
「情報には、ビット(=デジタル情報)とアトム(=現実の物質)の2つの要素があります。現代人の感覚は、デジタル情報に偏っている。一方で、現実世界にはデジタルよりももっと多様な情報が溢れている。」
玉利さんの根幹にあるのは、繋がりが消滅することへの危機感だけではなく、アトム界の情報をいかにキャッチするかでもあるということを伺うことができました。
12:00 野草を摘む
玉利さんのお話の後は、実際に山を歩いて季節の野草を摘みます。
この野草は根っこを食べるから注意深く掘ってとるとか、来年も収穫できるから根っこは残して葉だけいただくとか、知恵として伝承されているもの。目で見たり、匂いを嗅いだりして食べられる野草かどうか見極めます。
食べられるものを見分けられないことにショックを受けたりしながらも、春の恵みがこんなにも鮮やかであることに感動し、それをありがたくいただくという体験ができました。
12:30 囲炉裏で野草を調理し食す
みんなで囲炉裏を囲みながら、摘んできた野草を調理しました。
14:00 里山ウォーキング
食事の後は、里山ウォーキング。小宮さんにコンコントフィールドを案内していただきました。
もともと観光農園として、収穫体験などで多くの人を受け入れていたこの場所。人が訪れ地面が踏み固められることで、実は水が湧き出なくなるということで、観光農園をストップさせました。
そして、「こんこんと水の湧き出る里山をつくりたい」という想いで、小宮さんをはじめ、失われつつある水源を復活させる活動を行っています。
里山を歩きながら感じたことがもうひとつ。
ここが都会での日常なら、あいにくの雨..と言ってしまうこの日の天気。しかし、山は違います。霧を纏った木々は青々しくなって、雨を喜んでいるよう。雨を嫌がるのは都会生活に慣れた人間だけなんだなと痛感しました。。
むしろ私たちが山にお邪魔しているという感覚になり、一緒に雨を歓迎する気持ちになりました。思えば、雨乞いという儀式があるように、里山での暮らしにおいて雨は生きるために欠かせない自然からの贈りものだったのですね。
15:30 野草茶と自家製よもぎ団子
最後に、みんなで摘んだ野草でおやつです。里山を歩いて、野草を食べて、春のエネルギーを存分に身体に取り入れました。
最後に
玉利さんの講義では、昔の日本人が春に感じていた「精霊が山から一斉に降りてきて、山が笑う」という感覚や、冬が明け春がやってくる喜びの感覚についても教えていただきました。
内容は、玉利さんが主宰する「食とアニミズム」にまとめてあります。ご興味を持ってくださった方は、こちらの記事をぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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