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かんころ餅(長崎県五島列島)

原材料:干し芋、もち米、砂糖
製造者:川上文旦堂
販売:日本橋 長崎館
https://www.nagasakikan.jp/index.html

サツマイモは米作には不向きな土地でも栽培できることから、かつては多くの人たちを飢餓から救った。とりわけ耕作地が限られている島嶼部では威力を発揮。たとえば、平地の少ない屋久島では古くからサツマイモ(屋久島ではカライモと呼ぶ)の栽培が盛んで、朝昼晩三食がカライモ、三時のおやつにもカライモが食されたという。

長崎の五島列島も例外ではない。マイナビ農業にアップされた記事には、こんなエピソードが記されている。

収穫したサツマイモは、家屋の床下に掘られた「いもがま」に保管され、保存食として重宝されました。サツマイモを薄切りにし、赤土や石で造られた「じろ(かまど)」で湯がいて天日干しにした「ゆでかんころ」は、もち米と一緒にふかしてつき、「かんころ餅」として食されてきました。かんころ餅は、現在では砂糖や水あめ、ごまなどを加えて郷土菓子として親しまれ、島の土産品の定番となっています。(マイナビ農業「サツマイモ×耕作放棄地の活用×島おこし」)

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五島列島では現在でもサツマイモを使ったさまざまな名産品が作られているが、もっとも知られているのはこのエピソードにも記されている「かんころ餅」。スライスしたサツマイモを天日干しし(生のまま干す地域と、一度半茹でしてから干す地域があるようだ)、餅米と混ぜ合わせて作る昔ながらの郷土菓子だ。よもぎや紫芋を練り込んだものなどいくつものヴァリエーションがあるが、今回は「川上文旦堂」(佐世保市)の一番シンプルなかんころ餅を選んだ。

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かんころ餅を薄く切り、オーブントースターで軽く焼き目をつける。外はカリッ、中はホロッ。餅米が混ぜられているので食感はモチッともしていて、干し芋ならではの熟成された風味が口のなかに広がる。砂糖が入っているのでしっかりとした甘さがあるが、決してしつこい甘さではない。みちばた郷土菓子的にはこれぐらいの甘さがちょうどいい。

かんころ餅は冬季の保存食としても食べられていたという。七輪で軽く炙ったかんころ餅をハフハフと頬張る。それもまた、冬の五島列島の楽しみだったのだろう。

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