それぞれの桜 …福祉送迎サービス事情
送迎サービスのご紹介
北九州の桜は、4月に入って一気に満開になりました。
お花見に、歩いて出る方、電車やバスを使う方、そして車で出かける方、とみなさんにそれぞれの手段があります。一人で外出することが難しい方には、介護タクシーや、福祉タクシーという仕組みがあります。さらに、NPOやボランティア団体、社会福祉協議会などが行う「福祉有償運送」という送迎サービスもあります。
桜の道を「福祉有償運送」で
4月5日、ある利用者さんの通院に同行しました。
要介護の方や障害者の方をNPO等が自家用車を使って送迎する「福祉有償運送」で、私たちスタッフが運転し、乗降時や病院内は同行します。
行きの車中で、
「いつもなら、その学校の桜を見るんだけど・・・」と
腰の痛みに顔をしかめている利用者さんは、中学校の方に視線だけ動かしながら、前の座席のシートベルトをしっかりと握って体勢を保っています。
「痛くて花を見るゆとりがないよー。」
「普段は何でもないのに、道路(の段差)がカタっと揺れるだけで痛い。」
と、利用者さんは、まともに外を見られないまま、車は満開の桜の傍を通過してしまいました。
それでも利用者さんは「感謝感謝。ありがたいよー。優しくしてくれて助かるよ。ありがとう。」と繰り返し言われたのでした。
北九州市の「福祉有償運送団体」の数が増えました
「福祉有償運送」は、低料金で通院や買物などの送迎に対応して、利用される方からは、感謝の言葉をかけてもらいます。ですが、実施団体の多くは、運転協力者や車両確保に課題を抱えています。約10年間、北九州市には9団体しかありませんでしたが、今年の3月、新たに3団体増えて12団体になりました。新しい団体も、対応できる利用者が限られたり、運転者1名で始められれたりと、それぞれの事情をもって始められたようですが、外出に困っている一人でも多くの方に、この送迎サービスがつながるように願います。
■北九州の福祉有償運送実施団体(下のページにあります)
北九州市福祉有償運送運営協議会 - 北九州市 (kitakyushu.lg.jp)
各団体が、運転協力者・車両寄贈を募集中
私が所属する団体も、運転者の数が限られているため、新規依頼の全てには応えられない状況が続いています。ですが、「参加者募集」と地味にも発信を続けていたところ、昨年、現役で福祉以外の仕事をしながら「週1回でよければ活動できます」という方が訪ねてきてくれました。今は週1回の送迎を引き受けてもらい、大変助かっています。私たちと一緒に、色々な形で、送迎を担ってくれる方が増えるとありがたいです。
北九州の福祉有償運送団体の多くは、それぞれに運転協力者や車両寄贈を募集しています。非営利の送迎サービスを、各団体への会費や寄付という形で支えてくださる方も大歓迎です。年々増えている利用希望の声に応えられるよう、市内の実施団体がこれからも活動を続けていけるように、私にできる日々の活動の様子や課題も発信していきます。
毎年、たくましく美しく咲く桜。外出を楽しみにしている方や、支障がある方たちに、寄り添った支援を続けていきたい、と今年の桜の花を前に決意しています。
いただいたサポートは、非営利活動「たすけあい」の継続に活用させていただきます。