無塩パエリア
おいしい健康 管理栄養士のまいまいです。
「塩をつかわない」レシピ本。
コロナで自粛中、外にも出られず電子書籍のレシピ本を見ていた時に目に止まった本。「減塩」は栄養士は避けて通れないけど、「無塩って…」と思い、とても興味を持ちました。
健康診断で高血圧を指摘され、減塩するよう指導された人も少なくないはず。スーパーに行くとしょうゆやみそはもちろん、最近ではカレーなどのレトルト食品やパン、漬物まで様々な減塩商品が並んでいます。なんとなく、塩って身体に悪いもの…という印象を持っている人も少なくないのでは。その一方で夏場は熱中症にならないよう塩をとるよう言われたり…。
そんな塩について改めて考えてみたいと思いました。
1日に必要な塩の量
日本人の1日の塩分摂取量の平均は、9.7g※1。一方で1日あたりの必要な量(推定平均必要量)は1.5gとも言われています※2。(学生の時にそれを知って「そんなに少ない量で生きていけるんだ!」ととても驚きました。)
しかし日本人の食事を考えると、1日に1.5gの食塩というのはなかなか難しいもの。そこで厚生労働省は、日本人の食生活を考慮し、1日の食塩摂取の目標量を男性7.5g未満、女性6.5g未満としています※3。
ちなみに味噌汁1杯で1.0〜1.2g ほど、ラーメンを汁まで飲み干すと6.3gの塩分を摂取するとも言われています※4。こうみると1日に必要な量はもちろん、意識しないとすぐに1日の目標量超えてしまう…。
食塩の過剰摂取は高血圧を引き起こし、その他疾患とも関連していると言われています。
※1※2 厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※3 厚生労働省,「平成30年国民健康・栄養調査」
※4 調理のためのベーシックデータ第5版
塩の役割
その一方で、塩は体内の体液濃度を一定に保つ役割があり、生命維持に欠かせません。夏にたくさん汗をかいた時に塩を摂取しましょうというのは、汗として出ていってしまった塩分を補うため。
そして何より、塩って本当においしい。どんな食材にもぱらりとひとふりするだけでおいしさが増します。ちなみに、おいしいと感じる塩分濃度は0.8〜1.0%と言われており、これは体液の濃度(生理食塩水)の0.9%と同じだからだと言われています。
前回のnoteでも塩でうま味を引き出すスープについて書いていた私。やはり塩は料理をする上で、また生きていく上で必要不可欠な存在だと改めて思いました。
おいしく減塩する方法と無塩でもおいしいレシピ
減塩でも物足りなくならないコツとして、下記のようなものがあります。
・お酢や柑橘類の酸味をきかす
・こしょうやカレー粉、山椒、唐辛子などの香辛料を使う
・セロリや薬味など、香りの強い食材を使う
・あさりや昆布など、塩味があるものを使う
・骨付き肉やトマトやきのこ、かつお節などうま味がでるものを使う。
(トマトのうま味を引き出す方法はあずさんの記事で)
私が読んだ塩をつかわないレシピの本もやはり同じような内容で、食材のうま味を使っておいしくする工夫がされていました。自粛中で時間があったので、本を参考に私なりの無塩レシピを作ってみることに。「うま味の強い骨付き肉やあさりを使ったレシピがいいなぁ…。1品でバランスもとれると嬉しい。…うん、パエリアにしよう!」。うま味たっぷりのスープを吸ったご飯がおいしい、パエリアを作ることにしました。
無塩パエリア
ポイントにしたのは、野菜の甘味や酸味を使うこと、うま味の強い食材を使うこと、香辛料を使うこと。
まず最初に玉ねぎを油でじっくりしっかりと炒めて甘味を引き出しました。そこへ米、カレー粉、刻んだトマトを加え、カレー粉の粉っぽさがなくなるまでしっかり炒めます。酒と水を加えて一煮立ち。手羽元、あさりを加えて蓋をして約20分。お皿に盛り付け、黒こしょうを少し振って無塩パエリアの完成です。
香りの強いケールにオリーブオイル、ビネガー、黒こしょう、粉チーズをふったサラダも添えました。
実際に食べてみると無塩とは思えず、あさりや手羽元のうま味に野菜の甘味と酸味、少しスパイシーなカレー粉がご飯に染み込みとてもおいしい。最後にふった黒こしょうもいいアクセントになっていました。
ただ、最後に塩をほんのひとつまみ、ぱらりとふりかけ食べてみると、「うん、やっぱりこちらの方がおいしい」。ひとつまみの塩が、味を引き締め、うま味を引き出してくれました。
ごちそうさまという幸せを、あなたへ。
今回作ったレシピで、無塩でも十分おいしいという発見と、でもやはり塩を使うともっとおいしくなると再認識ができました。料理を作っている時の発見はとても感動でき、料理の楽しみそのもの。
これからも私自身が感動できて、食べた人がおいしくて健康になるレシピを追求していきたいなと思いました。
おいしい健康管理栄養士 まいまい