光るキノコ【奥入瀬 23/10/21】
自然界には光るキノコがあるということを皆さんご存知でしょうか?
少なくとも私はネイチャーガイドになるまでは聞いたこともありませんでした。
なんと日本では13種類もの光るキノコが確認されているそうで、奥入瀬渓流では今の所、2種類の光るキノコが確認されています。
八丈島にはその内の半分、7種類もの光るキノコが生息しているとか…!いつか行ってみたい!
今回の主役はツキヨタケというキノコ。
初めてその存在を知ったのは2016年だったと思います。
そんな不思議なものがあるのか!実際に見たい!
そう思っていたら、たまたま日中のツアー中に発見!
これは!行くしかねぇ!!
と、勇み足で夜の森へ行ったものの、まぁ怖いこと…!
キツネやフクロウなんかと目があっちゃったりして、恐怖感に耐えられずに足早に退散したことを今でも鮮明に覚えています。
肝心のツキヨタケはどうだったかというと、
ボヤァ〜っと光っていました。
少し拍子抜けしてしまうくらいのボヤァ。
実は、肉眼で見るとボヤっと光って見える程度で、世に出回っている写真は長時間露光という技術を用いて撮影されたものなんです。
もちろんそれも知った上で、ちゃんと準備をしていったのですが、予習不足でうまく撮影できず…
怖かったし、写真撮れてないし、もう散々。笑
そんなこともあって私にとってツキヨタケはなかなか思い出深いキノコなのです。
星野リゾート奥入瀬渓流ホテルではこのツキヨタケを観察しに行くユニークなツアーを行なっていました。(今年は天候不良のせいかうまくいかず…泣)
そんなツアーのガイドも務めるようになった今では、それなりに上手に撮ることができるようになりました。
ツキヨタケの発光によって闇夜に浮かび上がるブナの立ち姿。あぁ美しい…
相当数のツキヨタケが一本の樹から発生していますが、樹の幹から直接キノコが発生している状態というのは、その樹からすると実はあまり好ましい状態ではありません。
キノコ達が少しずつ幹を腐らせながら栄養を得る為です。
ツキヨタケは弱ったブナをよく好むようで、朽ちたブナの大木に発生することがとても多いです。
ツキヨタケ以外の菌類でも同様で、キノコが生えた街路樹が安全の為に伐採されてしまった話をよく耳にします。
奥入瀬渓流も日々たくさんの人や車が行き交う環境なので、完全に手付かずではなく、安全管理の為に事前に切り倒しておく対処をする場合があります。
ですが、切り倒した幹は処分するのではなく、近くに置いておくという対応をします。
長い目で見れば土に還っていく大事な資源というわけです。
冒頭の写真はそんな切り倒されたブナに発生していたツキヨタケを昨晩撮影したもの。
道路沿いだったので、とても楽に撮影することができました。
簡単に光るキノコを観察できるのは、道路沿いに豊かな森が残されている奥入瀬渓流の特権かもしれません。