【2024 第2四半期 決算】 シェル(SHEL) 【スーパーメジャー】
こんばんは、本日もお疲れさまです。
石油エンジニアの「オイルくん」と申します。
シェル(Shell)は、イギリスの石油メジャー大手。
シェルは、ヨーロッパ最大の石油会社で、
国際石油企業(スーパーメジャー)の2番手にあたります。
シェルの 2024年 第2四半期の決算が出たので、
この記事では、そんな決算の要点をご紹介します。
ぜひ読んでいってください。
2Q2024 決算データ
今期の決算では、予想を上回る結果でした。
✅ EPS:実際 $0.78 vs. 予想 $0.75
❌ 売上高:実際 $58.9 vs. 予想 $60.4B
これらのデータをより詳しく見ていきましょう。
業界価格とマージンの変化
2023年上半期との決算比較
2024年第1四半期との決算比較
業界価格とマージンの変化
今期の決算データを見る前に、
シェルが公開している「業界価格とマージン」を押さえておきましょう。
グラフからわかるように、
前年比では原油・天然ガス・製油と全体的に市場が悪いです。
原油価格は、2023年度から $15/bbl ほどの大きな減少
天然ガス価格は、欧州TTF で特に大きな下げ
石油製品・製油マージン(IRM)は、昨年に比べて約半分ほどに
化学製品マージン(ICM)は、昨年比で大きく上昇している
対して、第1四半期と比べると、大きな変化はありません。
では、これらの業界価格とマージンの変化を念頭に、
今期の決算データを見ていきましょう。
2023年上半期との決算比較
次の比較グラフは、シェルにおける、
今年の上半期(1H24)と昨年の上半期(1H23)のデータです。
ここでポイントとなるのが、以下の3つです。
天然ガス(Integrated Gas)のマイナス
LNG や天然ガスを元にした液体燃料(GTL)など
天然ガス価格低下による減少
石油化学製品のプラス
石油・化学製品マージン(IRM・ICM)の変化に起因
再生可能エネルギーのマイナス
マージンの縮小による減少
2024年第1四半期との決算比較
続いては、2024年第1四半期との比較になります。
以下がデータをまとめたグラフになります。
昨年の決算との比較でもあったように、
価格減少にともなう天然ガスでの大きなマイナスが目立ちます。
くわえて、ほかのセグメントでの変化は以下の通りです。
上流部門でのプラス
アルゼンチンでの物価調整による恩恵
石油化学製品でのマイナス
石油製品マージンの縮小
シンガポール工場の売却に伴う減少
再生可能エネルギーでのマイナス
マージンの縮小および、エネルギー需要の低下
上記のシンガポールの石油化学プラントの売却について、
簡単に見てみましょう。
2024年5月に発表されたのが、
Shell Singaporeを CAPGC に売却するというニュースです。
CAPGC とは、インドネシア石油化学企業「チャンドラ・アスリ・キャピタル(Chandra Asri Capital)」とスイス商社「グレンコア・アジア(Glencore Asian)」による合併会社です。
シンガポール工場は、
シェルにとってアジア最大の石油化学プラントでした。
ただ、戦略的見直しの一環で、
より高収益のセクターに集中するために売却されました。
シェルのほかの動き
今期の決算データを見れたところで、
シェルのほかの動きを見ていきましょう。
株主還元(shareholder distributions)
自然気候ソルーションズ(サスティナビリティ)
株主還元(shareholder distributions)
2024年第2四半期における株主還元は、$6.1B となります。
$2.2B 配当金(一株あたり $0.344ドル)
$4.0B 自社株買い
第3四半期の配当金は、第1・2四半期と変わらず、
一株あたり $0.344ドルと発表されました。
また、自社株買いにおいては、
2024年第3四半期に 追加で $3.5Bもの自社株買いを検討しています。
自然気候ソルーションズ(サスティナビリティ)
再生可能エネルギーをセグメント分けしているだけに、
シェルは比較的、意欲的にサスティナビリティを推し進めています。
カーボン回収・貯留(CSS)プロジェクト「ポラリス」への投資決断
ATCO EnPower と共同出資する「アトラス(Atlas)カーボン・ストレージ・ハブ」にて貯留予定
オランダでのバイオ燃料プラント建設を一時中断
サフ(SAF)や再生可能ディーゼルなどを生産できる予定
ルーウェイズ(Ruwais)LNG プロジェクトへの出資決定
電力で賄う LNG 生産施設(vs ガスで賄うプラント)
アラブ首長国連邦の石油企業「ADNOC」が主導する(60%)
他にも、シェルが進めているプロジェクトはありますが、
決算内で報告されたのは上記の3つでした。
【まとめ】 2Q24 シェル決算
この記事では、シェルの 2Q24 決算について、見ていきました。
今期の決算において、ポイントとなるのは3つ。
天然ガス事業からの大きなマイナス
シンガポール石油化学プラントの売却
カナダでのカーボン回収・貯留(CCS)プロジェクト
この記事が、なにかの参考になったのなら幸いです。
ほかの石油企業(スーパーメジャー)の決算もまとめているので、
ぜひ他の記事も読んでみてください。
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