誰の物語も続いていく
真夜中の埠頭にやってきて腰を下ろした
少し離れたところには釣り糸を垂らしているであろう人の影がある
対岸には所狭しと工場が立ち並び、忙しなく稼働しているのであろうことが煙突の煙を見てわかる
テトラポットの合間、少しずつ水面を押し上げる波がひたひたと音を立てて、存在を示す
ここに響くのは波の音
そして
僕の音
対岸からの音は無である
悔しい思いをして眠れずに、思い立って家を出てきたけれど、家に帰るタイミングが分からない
帰っても一人の部屋に、響くのは時計の音と僕の音
どこに居ても同じような気もするけれど、それでも空と海をこの目で見れば、何かが変わる気がした
気分転換
気晴らし
散々考えあぐねていると、空が白んできた
夜と朝はつながっている
新しい朝ではなく、夜の続きに朝がある
新しい朝とは、理想の言葉だと思わないか