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カロリーメイト(文字起こし)

今年も受験シーズンが近づき、TVや電車内で受験生向けのカロリーメイトの広告が増えてきましたね。以前、アナログブログと称してカロリーメイトに関するちょっとした話を手書きで載せておりましたので、この季節に肖り、それを文字に起こしながら読み返してみます。(一部推敲有り。)

初めてカロリーメイトを食したのは小学生の放課後。学童に預けられていたので自由に公園へ遊びに行ける友人達がうらやましくて仕方がなかった。大して面白くもなんともなかった放課後の唯一の楽しみはおやつの時間。親が学童にあらかじめ持ち込んでくれたおやつをワイワイ交換なんかしながら食べるのが好きだった。

滅多に学童に来ないモテる男子が来ていた日、カロリーメイトの存在を知ったのだ。

彼が食べていたクッキーともビスケットともつかない棒状のそれはわたしの目の前で割られるとホロホロと崩れた。なんだかよくわからないまま一片貰って口に入れると、やさしい味が口いっぱいに広がる。たしかに、美味しかった。

しかし、小学生にとって2本で100円とは少々お高く、普段カロリーメイトを口にすることは少なかったので敷居の高い食べ物と化した。

少し大きくなって自分のお小遣いで買えるようになり、わたしの小さなカバンの中には常時カロリーメイトが入っているようになった。ある日、夜間に骨折して長らく待合室で待たされ、痛みと空腹に耐えながらカバンから取り出してひと口かじったカロリーメイトの美味しかったことといったら。

今思い出すとあの頃のカロリーメイトへの崇拝ぶりは凄まじかった。自室の壁にパッケージを貼り付けて飾っていたのは流石にとち狂っていたと思う。
現在も放課後に大騒ぎしながら教室で勉強会をしていて先生に叱られたときの机の上に食べ終わったあとの箱が転がっている位には青春の一部となっている。


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