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【番外編】祖母のベッド柵をつけ忘れたあなたへ

祖母はベッド脇の床で、頭から血を流して倒れている状態で見つかりました。

その傷は大したことはないと連絡を受けた家族が病院に着くと、
祖母の口には酸素のバッグがついて

「どうされますか?機械に繋ぎますか?この手を止めたら、まもなく心臓は止まると思います。
傷の処置の後に、急変されました。
どうしますか?」

繋がないことを私たち家族は選び、医師が手を止めるとほどなくして祖母は逝きました。

退院3日前。入院中の事故。病院はすぐに警察を呼んでくれていました。
捜査した警察には、落ちた側のベッド柵が壁に立てかけてあったこと、指紋は多くて特定はできないこと、
故意か過失かはわからないと説明されました。

「訴えることもできます。どうしますか?」と言われ、訴えないことを家族で選びました。

私たち家族が「いい人」だったからではありません。祖母ならそれを選ぶと思ったからです。

14歳で生家を出て看護の道に進んだ祖母。
きっと祖母は「犯人探しはいらん。本人が一番よくわかっとる。ひとつ勉強になっただろう。」そう言うと思う。

祖母のベッド柵をつけ忘れたあなたへ。

どうか、その仕事を辞めないでください。

祖母は看護師長まで務めた人です、
人を育てることも大切にしてました。
死装束にナース服を用意していた人です。
「看護師こそ我が人生」だった人です。

その人生の最後に、一世一代の「学び」を置いていったと思います。

どうか辞めずに、続けてください。
あなたは誰よりもきっと、慎重にできるから。

祖母は看護学生の頃に見た実験動物がかわいそうだったと言い、
「生まれ変わったら、今度は獣医になる」と言っていました。

あなたはその仕事を、続けてください。
祖母を理由に、辞めないで。

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