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"オープンソースを使い、足し算で世界一を目指す" OICX nights #2 開催レポート

大学発学生ベンチャーで100億の時価総額を生み出した伝説のスタートアップ拠点OICXとそのOB達は、次なるステージ「東海発グローバルベンチャー」へ挑戦を続けています。これを応援するために、世界を舞台に活躍する著名な起業家・投資家・経営者・科学者をお招きして、OICXメンバーと交流を行う、OICX nights を開催しています。

11月9日(木)に開催された第2回目では、日本を代表する自動運転スタートアップである株式会社ティアフォーの創業者でありCEO兼CTOである加藤さんが登壇。*Autowareのオープンソースとしての全世界への公開の経緯や、起業家と教授の2足のわらじを実現させているそのノウハウやパッションについてお伺いしました。

*AutowareはThe Autoware Foundationの登録商標です。

当日は加藤さんを慕う名古屋大学出身の起業家や研究者らが集い、イベント開始前からOICXは賑わいを見せていました。

名古屋大学の准教授だった頃に、自分のコンピュータサイエンスの研究プロジェクトの1つとしてAutowareを作りました。オープンソースとして使ってもらっているうちに事業ニーズを発見し、名古屋大学の支援を頂きながら、ティアフォーが誕生しました。だから、実は本社も名古屋大学OICXに置いているんです。

"出社したのは4年ぶりですが…"の一言も沿えて、会場を笑いに誘う加藤さん。

僕らが起業した当時、自動運転技術をリードしていたのはGoolgleなどの巨大テック企業やカーメーカーでした。当時のティアフォーはチームに5~6人くらいしかいなくて、今からどんなに頑張っても3番目にしかなれないなと。じゃあ、その3番目がオープンソースを使って、みんなが自分たちのオープンソースを使ったら、足し算で世界一になれるんじゃないか。そう考えたのです。

しかし、オープンソースビジネスを成立させることは、並大抵のことではありません。加藤さんは、オープンソース先駆者であるLinuxの成功事例を徹底的に学んだと言います。

お客さん(エンドユーザー)が望んでいるのは、QCD(Quality[品質]、Cost[コスト]、Delivery[納期])の向上なんです。例えば、QCDが非常に高い状態を、富士山の頂上だとします。お客さんは、頂上までどう登ってきたのかは聞いてきませんので、頂上を目指す人たち(参入企業)は、なるべくゴールに近いところから登りたいと考えます。

オープンソースは、富士山の5合目からスタートできる環境を構築するための土台です。そして、ティアフォーは5合目からスタートして、9合目までは確実に目指せるトレッキングシューズや防寒具などのギアを用意するようなビジネスモデルになっています。

参加者からはすかさず、技術力だけでは勝負が難しいのではないか、と質問が飛び交います。その質問に対し加藤さんは、「良い視点ですね」と前置きし、このように語りました。

オープンソースビジネスを進める上で一番難しいのは、ステークホルダーが多い点です。ティアフォーだけの利益になるような意思決定はできません。色々な国の色々な人たちと、落とし所をつけながら進めることが大事です。みんなが安心しないと、活動に参加する人が増えないからです。そのために、ティアフォーとは切り離し、The Autoware Foundationという国際業界団体も設立しました。

ステークホルダーが多いことに加え、各国の規制や法令に対する様々な調整が求められます。そんな中、先日ティアフォーでは、自動運転システム「レベル4」の認可を取得したことを発表しました。今後世界各国で、ティアフォーとタッグを組みたいプレーヤーが増加すると考えられます。

自動運転はまだまだ黎明期です。今後どんなニーズが発生するかは予想もできません。だからこそオールラウンドに、どんなオーダーが来ても世界中誰とでもタッグを組める状態を理想としています。戦う選択はせず、組み方の数とコミュニケーション力の高さで世界と勝負するのです。

参加者からは他にも、公道以外で注目している分野はあるか?国内での自動運転受容度はどう変化するか?など、事業と技術視点での質問が飛び交いました。質問の度に、一貫して自社のビジョンと紐づけて回答する加藤さんの立ち振舞は、間違いなく東海発グローバルベンチャーを目指すOICX Mafia達の気運を盛り上げたと言えるでしょう。

加藤さん、ご登壇ありがとうございました!

12月5日(火)開催!第3回OICX nightsもお見逃しなく!

OICX nightsは、引き続き世界を舞台に活躍する著名な起業家・投資家・経営者・科学者をお招きしたイベントを開催しています。

12月5日(火)夜に開催される第3回目のイベントでは、名古屋大学総長 杉山 直先生をゲストにお招きします。トークセッションの前半では名古屋大学のスタートアップ支援について、今後の展望や取り組みをご紹介いただきます。後半は趣向を変えて、「宇宙理論と相対性理論の専門家の杉山総長が夢と妄想を語る」。宇宙理論と相対性理論の行きつく先はタイムマシンか、どこでもドアなのか、理論から応用への発想の転換、物の見方、将来の展望をお話しいただきます。

現在参加者絶賛募集中です。ご興味ある方はぜひお申し込みください!

▼参加お申込はpeatixから(60秒で簡単登録)


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