sioでの体験【代々木上原】
先日、東京に行く機会がありましたので、
前々からお伺いしたかったお店、日本一有名と言っても過言ではない鳥羽周作シェフのいるsioに行ってまいりました。
今回はその感想を私の備忘録的な意味も込めて残したいと思います。
数年前から鳥羽シェフのYouTubeを見ていて、料理がより好きになったのも鳥羽シェフのおかげでした。ミシュラン星付きレストランで働いていた私が、同じくミシュランで星をとったお店をどう感じたのか感想です。
お店の雰囲気
全体的に薄暗く、テーブルにはキャンドルの火、上からは小さめの電球が垂れている店内。高級路線のレストランに絶対あるテーブルクロスがなく、店内はポップな音楽が流れていて、カジュアルな店内。実際サービススタッフもカジュアルなシャツの着用、キッチンスタッフも白のTシャツにデニムのエプロンというスタイル。ドレスコードもないため緊張せずに料理を楽しめる。
1皿目
冷製のコーンスープ×シャンパン
コーンスープはかなりシンプル。クリーム、バターは全く感じず、
オリーブオイル、とうもろこしの青い香りを全面に押し出す。
スープ自体からもとうもろこしの葉っぱのニュアンスを感じる
下の方は少し果肉が溜まっている仕上がり。
めちゃくちゃシンプルで完全に引き算された料理。とうもろこしの瑞々しさ、香りの表現が素晴らしい、むき身ではなく、葉っぱで覆われているとうもろこしをイメージ出来るような味
シャンパンは2002年のシャルドネ主体のもの。樽香の香ばしさ、酸のニュアンスがとうもろこしの穀物特有の旨みとマッチングする
2皿目
馬肉のタルタル×シャンパン
構成は、パンの耳をカリカリの薄いラスクにした物の上に馬肉のタルタル、その上にビーツのラペ。
ラスクは薄いながらも強度が高く、食感とバター香ばしい香りが良い。タルタルは常温ながらも臭みを感じない、タルタル自体には塩味も弱め、その分ラペがかなりしっかり目の味つけ、クミンが強く香る。
初めラスクの食感にラペのビネガー、クミンのインパクト。後味に馬肉の旨みを感じる皿。
生肉が苦手な人には美味しいバランス。好みだが生肉好きなのでもう少しタルタルのボリュームが欲しかった。ただ、これまだ前菜なので、我慢する。
3皿目
ナスのフリット×オーストリアのソーヴィニヨンブラン
ナスをコーンフラワーで揚げて、sio特製の旨みの入った塩が強めに振って、パルミジャーノを上からふりかけている皿。
ナスはあえて乱切りにすることで食感の違いが楽しめる。それよりも衣の美味さが衝撃。カリカリに特製の塩がまとわり、まるで湖池屋のうすしおポテチ。塩が強めの衣に、甘めのナスでバランスをとっている。ナスは予め牛乳を浸すことで甘み、水分を補完してトロトロながらもギリギリ形を留める火入れ。(低温でじっくり揚げているとのこと)
熱々のフリットに対しての、冷たいソーヴィニヨンブランの柑橘のニュアンスがよく合う。温度でお互いを引き立て合っている感じ。
4皿目
秋刀魚のガレット×バルバレスコ赤ワイン
料理はこれが個人的には圧倒的にNo. 1。
皿が来る前にワインだけを飲んだが、まだ硬いが軽めのタンニンに旨みを感じるワイン。タンニンと秋刀魚の肝の苦味を合わせるやろ、絶対って感じ。
実際はまだまだ複雑。
構成としてはガレット生地に秋刀魚の細かくしたモノ(秋刀魚火入れ方法は分からなかった)いちじく、ラグー、ノワゼットバターを包んで上からカカオパウダー、アマランサスをあしらう、ソースはゴルゴンゾーラの軽いソース、栗の泡。
キモの苦味、アマランサスの爽やかな香、いちじくの甘味、ゴルゴンゾーラの旨み、全てが渾然一体となったうまさ。これが本当に美味しかった。
5皿目
ラビオリ×アルザスオレンジ(ナチュール)
オレンジ、アンティーブ、ペコリーノ、いんげん、ラグー、鶏出汁とオイルが乳化したソース、アニスがきいたラビオリ、ムール貝。
このタイミングでフォカッチャもでてきた。フォカッチャが衝撃の旨さ。コースの中でもベスト3に入るくらい美味しかった笑
料理自体は鳥羽シェフの五味+1の理論で構成された皿。甘味、苦味、酸味、塩味、旨み+α
個人的にはオレンジの存在感と、スターアニスの香りが立ちすぎていてバランスが悪い感じがした。
ただ合わせていたワインがめちゃくちゃ美味かった。旨みを感じるオレンジワイン。ナチュールの中でも薄旨系でめちゃくちゃ好み。こういうワインもペアリングに組み込んでくるあたり、流石だと思いました。
5皿目
トマトと紅生姜の手打ちタリオリーニの冷製パスタ×ハンガリーリースリング白ワイン
口直しの皿とのこと。先程の皿がかなり複雑だった為に、ここで酸のあるパスタで口をリセット。寿司を食べたら口直しでガリを食べる感覚。紅生姜の酸味と辛味がトマトの甘みを引き出して良いバランス。量も3口ほどで食べ終わる量。ソースももちろん美味しかったが、手打ちのタリオリーニは食感プリプリで単調でない皿。
リースリングも酸が効いていて、酸同時でペアリングさせる構成。
6皿目
太刀魚×ブルゴーニュ白(ナチュール)
太刀魚のポシェ?薄切りのズッキーニ、超美味しいシラス、サラダ、粒子の細かい山椒パウダーをふんだんに。
これがまた美味しい、先ほどの秋刀魚に続き、今回は魚料理が大正義だった。山椒の豊かな香りが大爆発、そこにフワッフワの太刀魚、1匹1匹が旨みの爆弾のシラス。
そこに香ばしいナチュールのワイン。ベストマッチ。山椒の香とワインの樽香、熟成が見事にマッチしていて最高でした。
7皿目
鹿肉×シャトーマルゴー2017、サードラベル(メルロー主体)
下にりんごのジュを含ませたポムピューレ、半分生か!いうくらい水分量を含んだ鹿肉、クラシックな酸味がきいた赤ワインソース。極細のごぼうとセロリラブのフリット、フレッシュのからしな、上からエスプレッソパウダーの構成。
エスプレッソパウダーの苦味が強く、メルロー主体の赤ワインでは受けきれない印象。
鹿肉の火入れはオーブンでとのこと、焼き目をあえて落として提供することで、プルプルの鹿肉が味わえる。鹿肉は火を入れるほど臭みが出るので、クセは全く感じられない火入れだった。だからこそ、エスプレッソパウダーの苦味が強く感じられすぎてしまった。皿全体で見ると苦味、酸味が少し強い印象。
シャトーマルゴーのサードラベルも美味しかったが(若干固かった)、正直5皿目に合わせたオレンジの方が美味しかった。
8皿目
sioラーメン
予めシメの希望を聞かれていました。選択肢は3つ。
•炊き立てご飯に太刀魚でも使っていた和歌山の激うましらす
•鶏、貝だし、具材は白髪ネギのみ究極シンプル塩ラーメン
•ラグーソースのパスタ
※パスタの説明されたが「こんなん絶対ラーメンやろ、、」と途中から思い、話が全然頭に入らなかった。
実際選んだのは塩ラーメン。いざ。麺はかなり細めだが、表面にスープが絡まるテクスチャ。そしてスープというよりに出汁近い液体。
おそらく旨みは鶏と貝。そこにしょっぱさをギリギリ感じない塩分量。上から鶏油っぽい油。ラーメンの究極の引き算って感じ。
白髪ネギの辛味がいいアクセントで最後まで飽きずにペロリ。(スープも勿論飲み干します)
もう見た目がテンション上がります。これは。
9皿目
シャインマスカットとセロリとやソルベ
シャインマスカット、ヨーグルトのパンナコッタ、フレッシュなセロリの角切り。ミント系のソルべ。
焼肉の後に食べたいものNo. 1ってくらい爽やか。セロリの爽やかな香が抜群。食感も、シャリシャリ、とろとろ、プチッと、シャキシャキの色んな食感が楽しいデザート。
10皿目
ナントカチーズのアイスクリーム
塩味しっかりめの濃厚チーズアイスに、甘いミルクのクッキー。しっかりお酒頂いたので、もはや何チーズだか分かってません。鳥羽シェフ曰く「コース食べ終わった後に、コンビニでハーゲンダッツを買って欲しくない」とのこと。なるほど。鳥羽シェフ流のハーゲンダッツを表現している感じ。塩味と甘みのバランスも良いし、しっかりした食感のクランブルで美味い。でもハーゲンダッツ食べて欲しくないって言われたら、食べたくなるのが人間です。(コンビニでめっちゃハーゲンダッツのグリーンティー探しました)
まとめ
最後にチョコレートと、コーヒー、紅茶も頂きました。カカオ強め、食感があるタイプのチョコレートで食後を引き締めてくれました。
感想としては、本当に美味しかった、感動。コース料理としては、今まで食べた中でもNo. 1でした。これで一人当たり36,000円。この品数、ワインのクオリティならコスパもいいと思います。空間はカジュアルながら、美味しさはミシュランクラスという素晴らしいお店でした。
帰りに鳥羽シェフと写真も撮らせてもらえてめちゃくちゃ嬉しかったです。いつかまた違う季節に行きたいと思います。
ご馳走様でした!!