耳で「聞く」
「聞いたらわかるだろ」
「ちゃんと聞いて判断しろよ」
こんなお叱りの言葉がスタジオではそこそこ飛び交ったりすることがある。
音の仕事なんだから耳で判断するのは絶対なので当たり前なんだけど。
この聞くという単語、案外理解されない。
歌ってみたで上手になりたい歌い手の人たちや、mix師名乗って上手になりたい人たちからたまに質問されることがある。どうすれば上手になりますか、と。
毎度同じことしか言わない。
「聞く能力がないから上手くならない人がほとんどなので、ちゃんと聞くようにしてみたら?」
下手な人ってちゃんと聞いてないままコンテンツを発表したり、最高とか言ってたりするから、いつまで経っても上手への道が見えないのよね。
上手じゃないものでも公開はガンガンすべきだけど、ちゃんとしてないものは自分の評判が下がるだけになるよ。
本題
耳に音が流れてくるという現象は、実は受動的なことで周囲で音が鳴っていれば自動的に耳に入ってくる。
これは聞いているとは言えない。ただ音が流れている環境にいるだけ。
自分で意識して能動的に音を聞く。それも真面目にフォーカスを決めて聞く。これができないとリビングでテレビをつけっぱなしにしているのと何も変わらない。
たまたま例えとして歌ってみたがわかりやすいから例に挙げたが、セリフだったりナレーションだったりも同じ。提出前に真面目に聞くってやるかどうかで、次のステップがものすごく変わる。
聞くのは意識も大事だし環境だって必要になるし、ある種の基準を自分の中に持っていないといけない。訓練が必要とも言える。
聞き方がわからない人間が歌なり読み方なりの訓練したところで、その道程があっているかどうかわからないでしょ?
新年からどぎついこと問いかけるけど
「ちゃんと聞いて判断できてる?」
できてないもの、ちゃんとしてるかわからないものを公開してたら、耳悪い人なんだな、と思われるだけですよ。