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AT2020の本気を引き出してみる実験

AT2020といえば生配信御用達のマイク。
オーディオテクニカ製の入門用低価格モデル

そう言う用途とメーカーもわかっているからか、通常の会話・通話にはもってこいの性質であり、日本の湿度環境でもなかなか壊れないと言う文句のつけどころのない製品になっている。

とはいえ、悲しいかな音質面ではガッツリ録音する人たちから切ない評価を受けることが多い
そんなAT2020で通話ではなく、ガッツリ目の録音として性能を引き出していきたいと思う。

まずは使った素直な感想から

このマイク、通常我々が想像しているコンデンサマイクとは異なる点がいくつかある。
・インプットゲインそんなにあげなくても通常の会話という小さい音量をしっかりと拾う
・演技や歌などのしっかり声を張る状況だとすぐにピーク割れやマイク割れをおこす
・しっかり声を張ると音がこもる、かすれる
・ノイズを拾いやすい

この辺りは悪い評価としてよく見られるものだ。

初心者向けだからこその誤解

最後のノイズを拾いやすい部分に関してはS/N比が71dBとコンデンサマイクとしては低いことも理由かもしれないし、基本的には入門者モデルなのでケーブルもあまりいいものを使っていないなども出てくるかもしれない。

しかしながら、このマイクだけノイズを極端に拾うという経験はない。
ちょっとノイズ多めかな、程度で収まっている。

これはどう言うことだろうか?

初心者の通話用という部分がキモではないかと思っている。

声の訓練を受けたわけでも録音知識があるわけでもない人たちが使うマイクなので、設定、それも入力音量が大きめに設定されることが多い。入力の音量が大きければノイズが増えるのはどんなマイクを使っても同じこと。

音質に対しての悪い評判にしても「このマイクに適した設定」が特殊なことに理由があると考えている。

根本的に入力の音量をそこまであげなくても声を拾うマイク。通常のマイクの距離や音量、インターフェイスの設定で「他のマイクと同じわけがない」のだ。大変面倒だが、このマイクに適した設定を探さなければならない。
そして、ネット上で検索を小一時間程度してみたが、これだけ普及しているマイクなのにも関わらず、このマイクに適切な設定という解説はどこにもない


https://www.audio-technica.co.jp/pdf/support/at2020_SS.pdf

この仕様書を見てもらえればわかるが、こもるような周波数特性ではない。
もちろん金額からして最高の音ではないのは自明の理ではあるが、話にならないほど音が悪いと言うほどではないはず。

というわけで設定を真剣に考えてみる

通話用のコンデンサマイク(正しくはエレクトレットコンデンサーマイク)という大前提をもとに考える。つまり、以前実験したAT2035と近しいものになる。
https://note.com/oichan_d/n/n57894515f580

・通話用なので声を張る歌や演技の場合は、距離を通常よりも離して入力音量を控えめにする
・おそらくノイズは拾いやすい類なのでポップガードをつけるだけではなく、ダイヤフラムに息が直接当たらないようにする

この二点だけでかなり音質は改善されるはず。
というわけで実験。

・3万円以下のオーディオインターフェイス
・ケーブルは通常の録音に耐えうる程度のものを使う
・上記特別な設定
・一般女性に大きめの声で録音をしてもらう

こちらが比較動画。まずは音を確認してもらえれば。
ちなみに、ノイズリダクションなどの編集も何もしていない無加工なのでその辺りはご理解いただきたい

普通の女性、特に訓練も何も受けていない人間のサンプルになるので、めちゃくちゃすごい!とはならないが、金額的な部分を考えるとAT2020でこれぐらいで撮れれば悪くないのではないだろうか。

ただし!

あくまでも「音質的に評判悪いAT2020だけど努力と工夫でマシになるでしょ?」というだけの実験であり、音がよくなる!という類のものではないことには注意したい。

教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。