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嫌われリヴァイアさん と こども達


かつて明るい不登校だったリヴァイアさんの元のこども達。不登校の後、社会の海へ放たれて泳いでいる。社会での振舞い方が解らず、忌み嫌われ排除される彼等。


社会には ほうれんそう(報連相)という慣習のようなものが存在する。


報。
リヴァイアさんにこども達が口答で報告する時のこと。伝えたいことを上手く言語化できない。ストーリーを追って伝えるのも苦手。こども達からの報告は、異次元の連想ゲームのよう。リヴァイアさんは、想像力を研ぎ澄まして交信する。
記述での報告はどうだろう。文章を書いて伝える時、こども達は漢字が上手く記述できない。部首+たてたてよこよこシュールなアートのような漢字が紙の上に並ぶ。リヴァイアさんは暗号解読を迫られる。彼等と長い時間を共に過ごすうちに「こども達が伝えたいことはこういう意味かな??」と予測精度は上がって行く。


連。
リヴァイアさんはこども達に連絡をする。連絡を受け取った彼等はしばしば、 言ってる意味が解らない!!! と口にする。誤情報として受けとってしまった時、 リヴァイアさん嘘ついた!!! と表現する。全く理解していないのに はいっ!!! とレスポンスのような音声を発する。後に、            あっそおゆーこと??? と理解を深めたパフォーマンスを披露してみせる。リヴァイアさんには、母語の違う誰かに対して伝えるような根気が求められる。伝える精度は鈍化したり退化したりする。


相。
自分の心の内を言語化するのが苦手なこども達は、相談という行為を手繰り寄せることができない。リヴァイアさんに相談せず、突然行方不明になる。携帯電話にでない。親に捨て置かれているので親族のヘルプも望めない。
でも、小さな片田舎の中学を卒業し、狭い狭い世界を生きているこども達だから。かくれんぼしても自律的に帰還を果たす。リヴァイアサン1 に。


人間の安全保障2 の脅かされている彼等は、リヴァイアさんと共にぎらぎら生き抜いて行く。生き抜く力は、生きて行くことでしか得られないことを理解している。


ほうれんそう の進化形が かくれんぼう だという。行方不明になりがちかくれんぼ集団のこども達。かくれんぼうへの進化は未だ先だろう。

1ホッブス角田安正訳「リヴァイアサン1」光文社古典新訳文庫
2国際連合広報センターHP 人間の安全保障

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