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「王子瀧の川」−鳥居は崖の上下どちらに?−『名所江戸百景』

今日はバイト先のお客様に陰でお褒めいただいたみたいで嬉しかったです。

スポーツジムの割にお客様との関わりが多くないジムなのでそこはちょっと残念ではあったのですが、陰ででもそう言ってくださると嬉しく思います。

そんな嬉しさのままチョコを食べる今日も広重。今回は『名所江戸百景』「王子瀧の川」です。

◼️ファーストインプレッション

王子の辺りってこんなに滝が多いんですね。画面右に長く伸びる滝があります。ここでも滝行なのか滝浴びなのか、ふんどし一丁の男性たちが腰掛けにいたり、水の中にいたりしています。

また、それだけでなく真ん中に赤い鳥居がありますがこれも何かしらの神社の跡なのでしょうか。
滝の近くに祀られがちなのかとも思ってしまうほどですね。

この絵では木々が紅葉しているのがわかるので秋ですね。これまでこの近辺は桜の
春の風景を描きがちだったので秋になると一気に画面が落ち着きます。
この辺りは吉宗が植えた桜は見られたのでしょうか?
秋と春どっちが見ものだったのかも気になります。

◼️滝野川

この川を滝野川というみたい。
ここでも滝!笑

薄い赤で囲まれたところが滝野川エリア。
で、ちょうど滝の真上にあるお寺が金剛寺というお寺。気づかなかったけれどちゃんとお寺がありました。

それもそうだし、金剛寺の東側に縦まっすぐに伸びつ道が「紅葉橋通り」というのが今回の光景を象徴しているように思えます。
ということは石神井川を流れる紅葉橋通りの一部の橋は「紅葉橋」ということですよね。
今回の絵の橋に該当するものですね。

http://www.kanko.city.kita.tokyo.jp/spot/421-2/

この付近一帯は、徳川八代将軍吉宗の命により、カエデが植樹され、金剛寺も「紅葉寺」として今も親しまれています。
また、源頼朝が伊豆で挙兵した後、隅田川を渡って武蔵国へ攻め入るときに、金剛寺あたりに陣を張ったといわれています。
頼朝が信仰し、江戸時代も広く信仰の対象となった松橋弁天が安置されています。 また、本尊の不動明王像は弘法大師自らの作という言い伝えがあります。

吉宗が桜だけでなく楓も植えていたというのが驚き。春だけでなく四季折々の景色を楽しめるようにしてくれたのですね。
それが現在にも繋がっていることを吉宗に知っていて貰えたらなんて思います。

今回は早めの登場『江戸名所図会』
石神井川とあり、岩の影にある鳥居の絵があったのでここが該当すると考えました。
松橋弁財天窟石神井川であるそうなのでそれで調べてみます。

https://www.city.kita.tokyo.jp/hakubutsukan/rekishi/fureru/bunkazai/takinogawa/benzaiten.html

崖下の岩屋の中には、弘法大師の作と伝えられる弁財天像がまつられていました。このため松橋弁財天は岩屋弁天とも呼ばれていました。『新編武蔵風土記稿』によると、この弁財天に源頼朝が太刀一振を奉納したと伝えられていますが、すでに太刀も弁財天像も失われています。
また、現在都営住宅が建っている付近の崖に滝があり、弁天の滝と呼ばれていました。旧滝野川村付近には滝が多く、夏のこの辺りの滝で水遊びをして涼をとることが江戸っ子の格好の避暑となっていて、こうした様子は広重の「名所江戸百景』や『東都名所』をはじめ多くの錦絵に描かれました。松橋弁財天の辺りは四季を通して多くの人で賑わっていたのです。

東都名所』にも描かれているみたい。

『東都名所』「王子滝の川」
こっちの方が『江戸名所図会』に寄った描き方をしているのは一目瞭然ですね。

にしても川で泳ぐ人たちが浮かれすぎている、、。笑
滝が描かれていないのでここは川と岩屋弁天の組み合わせが名物だったのかな?


整理すると、
・この川は石神井川
・崖上の建物が金剛寺
・赤い鳥居は松橋弁財天及び岩屋弁天と。
・そしてこの滝は、、弁天の滝


『江戸名所図会』松崎弁財天の項目を見ます。

「王子権現の西の方三四丁をうしろにあり本尊ハ弘法大師の作にして即ち大師の勧請なり此地ハ石神井河の流に臨み自然の山水あり両岸高く桜楓の二樹枝を交へ春秋ともにながめあるの一勝地なり源平盛衰記に治承四年十月頼朝卿隅田川河をうち渡り武蔵野国豊島の上瀧野河松橋といふ処に陣をとるとあるハ此地のことなり(頼朝奉納の太刀一振当社宝物たり)」


この弁財天は弘法大師の作であるのですね。
吉宗は桜と楓の2種類をあえて植えて、春秋ともに眺めがいいようにしたという史実もあるということ。


この「王子滝の川」という舞台について論じている論文を発見しました。これは「王子滝の川」自体を論じたというよりは、広重の「今様弁天尽」という作品群の中に描かれたとされる「王子滝の川」について少々述べられている部分のことなので何か新たな論を〜というわけではない論文であることはご容赦。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ukiyoeart/59/0/59_554/_pdf/-char/ja

梅原宗敬先生の論文です。21ページの中段からございます。
また、こちらの絵についての文です。

上の小さい枠の中に描かれていますが、崖の上に鳥居があります。
また、中洲がかなり大きく『江戸名所図会』にも『東都名所』にも『名所江戸百景』にもない描写ですよね。
同じ絵師でも異なる描写をしていますが、その真偽については言及されていません。
実際にいて見ることでわかることなのでいづれ王子エリアは行くべきところですね。

この『今様弁天尽』の代表作は洲崎・羽田・江ノ島・竹生島・本所一ツ目の五つでしたが、新たに「オランダ国立ライデン民族学博物館シーボルトコレクションを中心とした浮世絵展」で展示され、その存在が確認された六つ目であるみたいです。

確かに浮世絵は海外流出が多い部類なので日本で見つかるよりも海外で見つかる作品もあるということがありますよね。

この作品と弁天近くはわかっていることと、事実との照合が必要なほど謎めいた描かれ方はしていませんが、この地形を一度見てみたい気持ちが大きくなりました。

今日はここまで!

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