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「雪の朝洲崎の日の出」−貝汁のおいしさを江戸人と語り合いたい。−『銀世界東十二景』

今日はクリスマスですね。
かといって、バイトだったのでこれ以上語ることはないため本題に入ります。

昨日外で夜ご飯食べて人混みに圧倒されて落ち着いたところを探しもとめて帰ってきたのでやはり家でゆっくりするのが一番合っているのだと感じました。
明日は何もないので家でゆっくり本読んで英語勉強するぞ!


そんなゆったりしたい今日も広重
今回は『銀世界東十二景』「雪の朝洲崎の日の出」です。


国立国会図書館蔵

ファーストインプレッション

確かこれも洲崎の別の名所絵を見た時に出てきたものでした。
洲崎は海苔が生産地だったか、潮干狩りができたか、それかただの茂みのある海岸だったか、名所ではありましたね。

また洲崎で調べてどんな場所だったのかを見ていきます。

日の出とはいいつつ、しっかり朝日が出ているわけではなく、「これから」日の出といった瞬間なので水平線に少し真っ赤な線が入って朝日が襲ってくるのがわかります。

堤防の方でも前景に何も邪魔するものがないので見応えがあるのでしょう。
手前の橋の上の二人も日の出を見にきているのか、海の方向に指を指しています。

こういう朝日見たいなあ。

でも日の出の頃にはまだぐっすり寝てるか、徹夜して朝が来たことを受け入れたくないと焦っている時か、なのでこう朝日をいつ見られるのかなあと思い馳せています、、、、。


洲崎の描かれ方

洲崎というとどこだ。
品川あたりです。ざっくりと。品川区のなかでも五反田よりも東に位置している海岸沿いですね。


国立国会図書館蔵

広重・豊国『江戸自慢三十六興』「洲さき汐干かり」です。

お!やはり潮干狩り。
後ろの茂みの近くのあたりでさっきの人だかりは日の出を見ていたのでしょう。


国立国会図書館蔵

広重『江戸名所』「洲崎はつ日の出」です。

同じ広重の作品ではありますが、全く同じ構図で描かれています。
人々の配置が違うだけで皆、朝日を見に行っています。
しかも雪の降った次の日。
丈の大きい下駄でザクザク音を鳴らしながらあの堤防まで歩いている光景が想像できます。

洲崎というところ

先ほどは洲崎という場の描かれ方を見てきました。
ここでは洲崎という場所について地誌を活用してみていきたいと思います。


国立国会図書館蔵

『江戸名所図会』第四巻の「洲崎弁天」です。
『江戸名所図会』も霞を使って中景を排するということがあるのですね。
洲崎弁天が真ん中より上の方に描かれていますが、下の方の端からグネグネと伸びている道が全て描かれていないのは、地誌にある表現としてはあまりみたことがありませんでした。

洲崎弁天があって、そのすぐ近くが海であることで日の出が見やすいということや海鮮系の海産物がよく漁れることがわかる絵です。


国立国会図書館蔵

その海産物が漁れることがよりわかる絵がこちら。
同じ場所ですが、潮干狩りの様子がありありと描かれています。
『江戸名所図会』はただ名所の情報を細かく描き、配置や位置関係、土地の歴史や逸話を入れ込む書物ものだと思っていました。
しかし「品川汐干」では人々が生き生きと海水に足を浸して夏の風物詩を謳歌しているのです。
こうも人々の生活感というか、生き生きとして活発な様子は地誌としては稀有な表現だったのではないかと思います。

これが『江戸名所図会』が地誌として前後の地誌よりも評価されている所以でしょうか。

「品川汐干」の挿入歌は
「後奈良院撰の継合せに
海の道 十里に足らず 蛤」

というもの。

これ、和歌自体が合っているかネットで軽く検索したところこんなページが。

十里に足りない=九里?
九里=栗
栗→蛤
となるそう。

足りないから9というのはなかなか強引な気がしますが、海の栗が蛤というのが巧妙!

この歌の時代は永正年間
1504から1521年の間。江戸になる前段階の日本ですね。
こういうシャレの効いた歌は平安あたりだと思い込んでいました笑

ここで漁れるのは蛤であることがなんとなくわかります。
潮干狩りというとアサリだかしじみみたいな小さい貝が多い気がしますが、蛤が取れるんだ。!

ここで獲れたものを家に持ち帰って汁物に入れたり、干したりしたのでしょうか。


この前飲んだ貝の汁の味が思い出されます。

今日はここまで!
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