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「不忍池」−どこのドブに落ちたの?−『江戸名所道戯尽』
今日も早めに書きます。
導入もゼロです笑。
そんなすっ飛ばし今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』「六 不忍池」です。
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◼️ファーストインプレッション
また酔ってます。
絶対酔ってますよね?笑
せっかく不忍池という散歩コース、癒しスポット、将軍家由緒ある聖地であるのにも関わらず、泥だらけ野郎が担がれています。
せっかく桜も咲いているのにね。
右にある赤い建物は弁天堂でしょうか。人々が桟にから乗り出して池の景色を見ています。
手前の一行は一人を介抱していることに焦点が当たりがちですが、その後を歩く青髭おじさんも気になるポーズ。
泥棒みたいにしか見えませんが、多分泥まみれのツレ。
介抱している人も呆れた顔をしていますね。
一緒にいる女性三人はそれを見て笑っているのを見ると、非常に平和な空間だとさえ思ってしまいます。
それにしても酔っ払いは相当キテる。草履の鼻緒も切れてるし、ふんどしも解けている。
◼️不忍池×浮世絵
不忍池だけにフォーカスした浮世絵を見る回って無かったので今回は不忍池とそこに集まる人々に注目した特集をしていきたいと思います。
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広重の『東都名所』「上野山王山・清水観音堂花見・不忍之池全図 中島弁財天社」です。
やっぱり広景の描いた「不忍池」では弁財天が描かれていますね。
お堂は小さいけれど、それを囲む軒がまさに人々が乗り出している所でしょう。
で、この酔っ払い一行が歩いているのは弁財天の北東の方向にある道の桜並木。
どこのドブに落ちたんだろう。
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喜多川歌麿の『江戸八景』「不忍池の落鳫」です。
初めて歌麿の絵を見るかも。
やはりいつも見ている錦絵よりも色の数が少なくて 紅摺絵と錦絵の過渡期って感じがします。
そもそも落鳫とは、、という感じだったので調べると、
池や沼などにおりたつ雁。
ただこの状況のための言葉があるのですね。お菓子の意味だけじゃないのですね。
今でもあの蓮の池に降り立ちそうな雰囲気はありますが、当時はもっと降り立ちていそう。
遊女と同伴している男性が雁の存在に驚いているのか、じっと凝視しているだけなのか。遊女と絶対くっつこうとしていますね。
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広重の『江戸高名会亭尽』「池之端」です。
ちょうどこの麓あたりで酔っ払いは介抱されています笑。
このちょっと高いところは料亭なのかな?題名からしてそんな気がしますね。
キッズ芸妓たちがめちゃくちゃはしゃいでいます。後ろから目を隠していたり、腕を引っ張っていたり。大人たちはそれを見て「ああああああああ!」と叱責の直前。
せっかく不忍池を眺められる場所なのに落ち着いていられないようですね。
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広重の『江都名所』「上野不忍の池」です。
ここはまだ桜が満開ではない様子。二部咲って感じでしょうか。それを見にきている人々は空の方を眺めている様子。
その一方で道で何か物を売っている人が座っています。この時期は人通りが多いからそれを狙って物を売っているのでしょうか。
奥には弁財天が見えます。弁財天が陸地と繋がっている方向は桜並木で、人々が闊歩する様子が描かれがちだったのでしょう。
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広重の『東都名所』「不忍之池」です。
広景の「不忍池」の奥の景色の全容ですね。
この軒並みは茶屋のような休憩所だったのですね。
池を眺めるための桟があるだけでなく座れるところもある。
当時から不忍池には蓮がたくさん生息していたことがわかります。
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広重の『新撰江戸名所』 「不忍池新土堤春之景」です。
ここですね、酔っ払いが落ちたのは。
この土手から、または細い橋を渡りきれずに落ちてしまったみたい。
全部繋げると広景の描いた場所と情景が構成されていきますね。
![](https://assets.st-note.com/img/1654748449045-Bgj0JSX51h.jpg)
二代目広重の『東都三十六景』「不忍池」です。
こっちから説の方が有力ですね。
さっきの光景はこの道の延長上の景色という方が正解でしょう。
まさにこの道をもっと低い位置から描いているということ。
今日は広景の描く不忍池と他の作品を比較しまくってみました。
今日はここまで!