見出し画像

「鎧のわたし七夕祭」−師匠に倣わないわけを知りたい−『江戸名所道戯尽』

今日は二週間ぶりのお出かけ、韓国料理を食べに行きました。

カンジャンケジャンというものと、海老の醤油漬け、、?
あとはチーズがダラーん系のものも食べたので塩分をかなり摂ったなというのを感じています。。

ちゃんと汗かかないと顔が浮腫んでしまう、、。笑

そんな塩分過多の今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「十三 鎧のわたし七夕」です。

国立国会図書館蔵

◼️ファーストインプレッション

鎧の渡しは以前『名所江戸百景』(1857)にもありましたね。
ちょっと記憶に薄いのが本音ですが、、、。

船が多く出ているところや岸に蔵が立ち並んでいるところは両者とも共通でしたね。
あの樽の中には大阪からのお酒が入っていて、その手前の曲線強めの船は猪牙船というもの。

今回の広景の絵には猪牙舟も樽も描かれていませんね。
その場所を象徴するシンボルよりもこの騒ぎの方をメインに描きたかったのでしょう。

手前の船には六人も乗っていて、もう誰も落ち着いて座っていない。
七夕の飾りの一部が船に直撃して、しかも女性に直撃している。
普通に訴訟もんレベルで怪我する笑。
この七夕の飾りを飾る責任がある組織に訴えることできますよね。

女性も唖然として後ろに避けることしかできない。周りの人も驚いて避けている様子。まるで写楽の役者絵のようなポーズをとっている。

おそらくこの瞬間に大きな風が吹いたのでしょう。周りにも短冊が舞い散っていますね。
笹の木も左に靡いて強くしなっている様子なので仕方のない事故だったのかも?笑

広重の鎧の渡しを見た時は川上の特徴しか見なかったので、鎧の渡しを描いたものを見ていきたいと思います。

◼️鎧の渡し

案外鎧の渡しを描いた絵というものが少ない様子。

広重の『江都勝景』「よろゐの渡し」です。(1838)

やはり鎧の渡しを描くにあたり、猪牙舟と俵を乗せた船、人々も乗せた船、そして立ち並ぶ蔵は必須。

この光景はかなり素朴で、『名所江戸百景』ほどの臨場感もなく、場の特徴を淡々と描き残しているような印象。
水面も非常に静かで、川の奥に向かっての遠近感がリアルなのが唯一の特筆事項。


広重の『絵本江戸土産』「鎧の渡」です。(1858)
猪牙舟の頭がどーーんと置かれています。
本当に猪の牙みたい。船の上から描いたとしてもかなり低い位置から描かれていています。広重によくある近景に大きく物を捉える描写法。
これまでみてきた中でも代表格になりうるくらいダイナミックですね。

あとは、最終奥義、『江戸名所図会』(1834)

これまでは川の上から描いた絵が多かったですが、今回は渡し目線で描いています。
やはり『江戸名所図会』は個性を出しすぎずに、描くべき特徴をしっかり描きこんでいます。一番スタンダードな描写ではないでしょうか。

広重・広景以外に鎧の渡しを描いた作品が見つかりませんでした。
実際に広重が鎧の渡しに赴いてインスピレーションを受けたかは定かではありませんが、『江戸名所図会』を参考にしていたとしたら、年を経るにつれて個性を出していったことがわかります。
最初は俯瞰的に描き、必要なものを詰め込んで、湾曲する川を遠近法でうまく描いています。
そして徐々に立つところを変えて視線を低くしています。
それに加えて近景に描くものの種類を変えて臨場感を醸し出す技法を出しています。

それに倣って広景は、、と言いたいところですが、広重の『江都勝景』を参照している確率の方が高くて、技法を盗み取ろうとか臨場感をもっと出してやろうという気は感じません。
師匠に倣う描き方を敢えてしなかった理由を探ってみるのも面白そうですね。

最近はTOEICが近くなってきたのでそっちに重きを置かないといけませんのでそれまでちょっと負担軽めに記事を終わらせていただきます、、。

今日はここまで!

#歌川広景 #江戸名所道戯尽 #鎧の渡し #歌川広重 #江戸名所図会 #名所江戸百景 #浮世絵 #猪木船 #アート #美術 #芸術 #日本絵画 #江戸時代 #江戸絵画

いいなと思ったら応援しよう!