「土山 春之雨」–海外にも土山の雨は伝わっているかも?−『東海道五十三次』
今月末に一人で大阪に行くのですが、行くべき場所と駅の位置関係が全然わからなくて困っています。笑
大学生の割に大阪に行ったことがないので(大学生はみんな大阪に行っているイメージ)地理が全く頭に入っていません。。。
大阪は観光地でもありながら東京のような都市でもあるので、地方の観光地とは訳が違うような気がしています。
海遊館に一度は行ってみたかったので訪れるのが非常に楽しみです。
一番楽しみなのは新幹線のカチコチなアイスではあります!笑
そんな大阪観光の予習もしておこうかと思っている今日も広重。今回は『東海道五十三次』の「土山 春之雨」です。
◼️ファーストインプレッション
今回の雨の表現は画面に垂直に描かれていますね。
風が強くは吹いていないということでしょうか。
しとしとと降っている印象を受けます。
そうは言いつつも、川の流れはかなり強くて白い飛沫を上げながら流れています。
川のカサが増してきたのでしょうか、橋の上の人々もヒヤヒヤしていそう。
橋を渡っている一行は大名行列ではなさそうだけれど、人々がそれぞれ荷物を持っていることからやはり大名行列なのかもしれません。
橋の向こうには木が立っているのに紛れて、背景に軒が連なっています。
でもそこには人気はなくひっそりと人々を待ち構えているかのようです。
歩く人々も顔が見えないのでこの雨にどんな感情を抱いているのかが読み取れませんね。
轟々とした「庄野」のように横殴りの雨ではないし人々の躍動感もないけれど、人々の感情が読み取れず、その場所が名所として表現されている訳ではない共通点がありますね。
今回は土山の場所と、「庄野」との表現の違いを参考書を参考に見ていきたいと思います。
◼️土山
前回の阪之下筆捨山との距離感を見ていきましょう。
右下の赤ピンが「筆捨山城跡」、左上の赤ピンが「東海道土山宿今宿石碑」です。
およそ距離は15キロ。
宿場間は少し遠いかも。
余談ですが、この辺りにゴルフコースがかなりありますね。
「坂は照る照る鈴鹿は曇るあいの土山雨が降る」という鈴鹿馬子唄が気になりますえね。
坂=坂の下であるのでしょうけれど、土山にかかっている「あい」という言葉がどういった意味なのか読み取りにくいですね。
この「あい」にはいくつか、というかかなりの量の説があります。
名産である鮎のこと説や藍染が盛んだったことから説という面白い説もあり、一番説得力のある説をご紹介します。
鈴鹿峠を境に天候が違うというのは興味深いですね。
「あいの」というのは「相の」ということで、対してという意味を持たせているとすると非常に説得力があります。
馬子唄ということで、今も小唄として残っているようです。
外国人の方が実演していらっしゃるのでおそらく海外交流の機会に発表されたのでしょうね。
こうした鈴鹿の馬子の中で流行っていた歌が、外国人にまで知られるようになるなんて江戸時代当時の人々も思っていなかったでしょうね。
◼️「庄野」との表現の違い
参考書には今回の雨の表現と「庄野」との雨の表現の大きな違いがある書かれています。
庄野でのダイナミックな印象を”動”とし、土山でのしっとりとした印象を”静”としています。静と動の対象を雨の表現、人々の動きや木々の靡く様子から区別しています。
あえて二つを並べて描き分けていたかは判断しかねますが、一つの東海道シリーズで雨の表現を全く異なる印象に書き上げていたことは意図的だと考えられますよね。
今日はネタを参考書方いただこうかと思っていましたが、小唄を見つけられて印象に残る宿になりました。
今日はここまで!
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