一也と定春とやっぱり冬
「遊戯王でもやってたの?」
やってたよ。近所のスーパーでばったり会った親友は、カゴいっぱいのマロニーちゃんを押し付けてきた。カードゲームの話をしながらの鍋用具は、忖度しても脈絡がない。親友の定春は、いつもこういう奴だった。気まぐれで、無口かと思えばマシンガントークを繰り出す怪物だ。これの長所は、心が優しいのといくらか整った顔くらいだろうか。
「オレはベイブレードだったよ」
「懐かしいなオイ」
「なんか、景品で…もらっただけだけど」
「やらんのかーい」
大学進学と同時にこの町に