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薬局での待ち時間は長いですか?あなたができること、薬局がするべきこと
「薬局」「待ち時間」でTwitter上を検索してみると、「待ち時間が長い」という不満がたくさん出てきます。
「病院で○時間待ったのに、更に薬局で待つのか!」
「待てるのは30分が限界!」
「診察の待ち時間より、薬局の待ち時間が長い」
など不満を漏らす人もいれば、待ち時間を有効に活用している方もいたり、自分の家の近くの薬局に処方箋を送っておいて、できる頃に受け取りに行きますという人がいたり様々です。
しかし、【待ち時間が短いほうがいい】というのが全体を眺めてみての総意です。
次からは、
待ち時間が短いのが本当に薬局のためには一番大切なことなのか?
他に大切なことはないのか?
ということも含めて少し考えてみます。
患者満足度を調査した報告
薬剤師が患者さんに向けて行った満足度に関する調査報告がいくつかだされていますのでみていきたいと思います。お付き合いください。
保険薬局における満足度を向上させるために、満足度の調査を行ったものでは、「服薬指導」「薬剤師の応対」といった薬剤師職能への意識の割合が高く重要視されており、次に「待ち時間」「スタッフの質」「環境」が続いていました¹⁾。
これをみると、待ち時間だけでもないのかな?とも思いますが、このアンケートでは日頃からこの薬局に来局している患者さんを対象に行っているため、「待ち時間」「スタッフの質」「環境」は評価の対象から外れることが多かったともとれます。
【参考資料】
1)保険薬局における患者満足の研究—共分散構造分析と重回帰分析を用いた患者アンケートデータの解析—.YAKUGAKU ZASSHI,127(7);1115-1123,2007
別の報告では、2つほどグラフを出したいと思います²⁾。
このグラフでは、「多少時間がかかってもよいので、十分な情報が欲しい」という項目が、とにかく早く済ませたいの割合を上回っています。
しかし、別のグラフでは、
薬局を選ぶ基準の上位に来ているのは、
・薬の情報提供や説明が良い
・待ち時間が短い
・待合室の雰囲気がよい
となっています。
やはり、待ち時間は短いほうがいいということです。ではなぜ「多少時間がかかってもよいので、十分な情報が欲しい」という割合が多くなったのか?
それは、慢性疾患の薬や副作用が起きやすい薬を服用している人などでは、より詳しく説明を聞きたいという意識が働く場合もあるためです。
風邪薬など臨時のお薬をもらいに行った時には、早く帰りたいという気持ちが働くのは仕方ないことかもしれないですね。
【参考資料】
2)薬局における処方せん調剤を目的として来局した患者の満足度に影響を与える薬局機能・サービスに関する研究.YAKUGAKU ZASSHI,129(5);581-591,2009
ここまで2件、薬局における患者満足度についての報告を見てきましたが、この他にも本当に沢山の満足度に関する調査が行われています。
新しいものだと、医療薬学.45(4);214-221,2019などありますので、興味があればみてみてください。
それほど「薬局は患者さんの満足度を気にしている」ということになりますが、調査の中では「待ち時間」だけでなく「薬剤師の質」や「待合室の環境」なども満足度の要因として上位に入ってきます。
しかし、実際の現場の肌感としてはやはり「待ち時間」に対する不満を訴えられることが多いため、これに対する対策は行っていく必要があると考えています。
待ち時間を減らすためにあなたができること、薬局がするべきこと
待ち時間を減らすためには薬局の努力ももちろん大切ですが、努力だけではどうしようも無いことがあります。
あなたにできることもあります、薬局がするべきこともあります
お互いに協力し合いながら待ち時間を減らす方法をいくつか提案します。
あなたができること
■ Line、電子お薬手帳、アプリ、FAXなどを利用して、先に処方箋を薬局に送っておいて、出来上がる時間を見計らって受け取りに行く
■ 自分が希望した薬が処方されているか?次回受診までの日数分きちんと処方されているか?会計で処方箋を受け取った時に一度処方箋の内容を確認して間違いはその場で訂正してもらう
これ地味ですが、かなりの時間短縮になります!
ぜひ、
【処方箋をもらったら内容を自分で確認】
の習慣をつけてみてください。
■ 家の近くの薬局をかかりつけ薬局として利用する
■ 待ち時間を、スーパーやコンビニに出かけたり、用事足しをする時間に当てる
■ 薬の内容によって、かかる時間が違うことを理解する
・ヒート調剤のもの
・一包化にする薬
・一包化で日数が多いもの
・一包化の人ばかりで機械がつまっている
・軟膏を混合する必要があるもの
・粉砕する必要があるもの
・粉薬と錠剤が混ざっているもの
・在庫がない薬が入った処方せんの場合
※下に行けばいくほどかかる作業は煩雑になり時間はかかってしまいます。
■ 薬局の環境を楽しむ
薬局により異なりますが、雑誌が置いてあったり、健康測定機器が置いてあったりと様々なサービスが利用できる場合もあります。その環境を楽しめると待ち時間が少しだけ軽く感じるかもしれません。
・コーヒーを飲んで待つ
・Free-WiFi(スマホをみて待つ)
・アロマを見て待つ
・雑誌を見て待つ
・健康チェック機器を利用して待つ
これらの中でも、特に積極的に利用してもらいたいのは、
処方箋の画像をスマホで撮影して
薬局に送信するアプリの利用
です!
一度使えばその便利さに気づけるので、最初の設定が面倒だと感じても一度チャレンジしてみてください!この方法を採用している薬局は日々増えています。
薬局がするべきこと
最善をつくしてスピーディーに調剤、監査を行うことはもちろんですが、職員一人ひとりが心がけておくことで満足度が向上することもあります。
■ 患者さんが待てる時間はどれくらいなのか?皆で情報共有しておく
検索してみると、だいたい患者さんが待てると感じている時間は
15分~30分
これを超えると待てないと感じている様です。
実際の時間と体感時間はまた異なると思いますので、今どの段階まで薬を作り終わっていて、あとどれくらいでできるのかをまめに伝えるなど、薬が出来上がる前から患者さんとのコンタクトをマメにとることが大切かもしれません。
(体感の待ち時間を減らす努力!)
一番問題になるのが、散々待ったあとに初めて薬のことを聞かれたり、薬の在庫がないと伝えられたりするときだと思います。
■ 患者さんが何に満足感を感じるのか?理解しておく
前述した患者満足度についての調査のような結果が沢山文献として出ているので、その内容を確認して理解しておくことも大切だと思います。
私見ですが、早くもらって帰ること意外にも患者さんは
・薬剤師と世間話をすること
・健康相談をしたい(悩みや疑問の解決)
・先生に聞けなかったことを聞きたい
・先生に言えなかったことを言いたい
など薬局にかける期待感もあると思っています。
■ 疑義照会(問い合わせ)簡素化プロトコルを地域で整備する
簡単な疑義照会(薬に関する問い合わせ)の内容は、事前に近隣の病院、地域で打ち合わせをしておき、問い合わせなしに変更できる仕組みをつくっておくこと。
これができると、簡単な薬の問い合わせ内容によって消費される時間が大幅に削減されますが、どこまで簡素化する内容を決めておくか?という部分が難しくなってくるので、なかなか進んでいないのが現状かと思います。
■ 残念ながら、薬に興味がない、病気に対する知識・興味がない、とにかく早くかえりたいという人もいることを理解する
少なからずこういった人達もいます。そのことを理解しつつも、最低限薬剤師として確認しておかなければいけない事をチェックし、気持ちよく帰ってもらえるように気持ちを切り替えて対応してみましょう。
■ エンターテイメント、サービスも意識する
「薬局は処方箋の薬をもらうためだけの場所」というイメージをまずくつがえす必要があります。
LINEやアプリなどのシステム面の整備ももちろんですが、薬局内の設備の充実、薬以外の付加価値の設定が大切だと思います。薬局独自の取り組みで患者さんを飽きさせない工夫があれば、体感の待ち時間は減らすことができるのではないでしょうか?
この他にも色々あるかもしれませんが、
実際の待ち時間よりも、
体感の待ち時間を減らす努力を
すべてはこれに繋がると思います。
さいごまでお読み頂きありがとうございました😊
お互いに協力し合いながら、薬局での待ち時間の短縮、満足度向上が達成できたら万々歳です🙆♂️
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