他人の胸中 #002
文/構成:髙橋
第2回目にして、当社比超ど級のヘイトから始めてしまうことを予めご了承いただきたい。知らない他人が更に知らない他人へ苦言を呈している様は見るに堪えないものかと思うのでブラウザバック、もしくはサムネイルにつくばわんわんランドのワンちゃんにお越しいただきましたので、そちらをご鑑賞ください。
他者を糾弾する話
驚くほど利己的な人間がたまにいる。もしかしたら幸せなことなのかもしれないが、他者はすべからく自分という大いなる存在の一挙手一投足に興味を持つに違いない、そうではない者がおかしい、という謎の誇大妄想を信じて疑わない人。ちなみにそう言う人であればあるほど自分以外に興味がない。かく言う自分も、程度は大きく違えどどちらかと言えばそちらサイドではある(でなれば多分エッセイなんざ書かない)ので、ほんの少しだけ気持ちがわからんでもない気がするのがまた悲しいところだ。これで部署のトップになれるんだから会社っていうものはわけのわからねえ集合体だよな。特大の大人が恥ずかしげもなく、恐ろしいほど内容のない、しかし一貫した自分語りをそれなりの大人数に一斉送信し、文末に草を生やす。単芝には気をつけなさい、それはあなたの品性になるから。
こういう人間が立派に所帯を持ちその形を保てている事実、これは絶望風味のドカ安心みたいな味がするからなんだかなぁと思う。
安定に不安定な話
流石に自覚するレベルで、最近は落ち込みがちだ。今の自分の場合、もしかしたら前述の人物が関係しているのかもしれないが、別になんてことないけど、特に理由もないけど、どうしても気分が優れない時って間違いなく全員あるはずだ。ある。あるに違いない。自分だけなんてことはない、全員がたまにそれなりに落ち込んでいるに違いない、そうであって然るべし。それこそ全員が全員別の地獄にいると考えたら、それはもう途方もないことだよな。ごくたまに脅威を感じるほど元気で前向きな人がいるけどああいう人たちはどこで落ち込んでいるんだろう?家?その奥ゆかしさは正直いって宝だと思う(できる時に発散したほうがいいけど)。小学校低学年くらいまではしゃかりき元気チアフルマインドを確かに持っていたはずなのに、どこに落としてきちゃったんだろうか。というか、冷静にあの頃はなんてまばゆい生き物だったんだ。夏なんてほぼ毎日飽きもせず公園で3時間くらい遊んでたな。水泳部の午前練習の後に市営プール行って追いスイミングもしていた。結局のところ体力の衰えが諸悪の根源なのだろうか。
身体の所有権の話
バイオハザード8の実況動画を見た後、自分の腕が生えていることに安堵した人は私以外にもきっといるんじゃなかろうか。これと同じ現象でもない気がするが、たまに、普段の一人称視点から半歩ほど距離をとった位置に自分の中心がある感覚に陥る。そんな時は、なんとなく視界にある手を握って開いてみようと思った瞬間、意図通りに動くのが途轍もなくすごいことのように感じる。かと思えばタンスの角に足の小指を強かにぶつけて、30年近くこの身体のパイロットを任されている自分でも扱いきれない箇所があるのかとも思う。この程度のエヴァでも乗りこなすのは容易ではない。シンジくん、心中お察しします。なにかしら縁と運があってこの身体の操縦権を握っているけど、そうではなかった無数(おおよそ3億弱)の未来もあったかも、と思うと謎に感慨深い気持ちになる。まあ10年経つとほぼ別人になるみたいなことを聞いた気もするから、どんぶり勘定、今の自分でちょうど3人目くらいなのか。座布団1枚に全身が収まっていた頃から体の縮尺は大分変わったが、自分の目線がそれ相応に高くなったかと聞かれるとそんな気は全くしない。変化はグラデーションで、気付かないうちに日々全身で死に近づいているのは間違いない。でもずっと死ねないよりは、きっとずっといいことなんだと思う。
近頃は立腹しがちだったこともあって、なす術もなく他者に殴られる人間よりもその倍の力で他者を殴り返せる人間になりたいと思ったので、今までにないくらい力を所望しています。
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